“ジョディと子鹿のフラッグと”試演会 - 2007.10.16 Tue,23:33
たしか作曲を本格的に始めたのは1月からだったと思うが、初めて一昨日の日曜日に名古屋の郊外のホールで「公開リハーサル」が行われた。
写真は全くその日の事とは関係ないが(爆)、鹿と熊という重要な登場人物の温泉の粉が売っていたので買ってしまった。
今までも芝居の音楽を学生時代からそこそこ書いてきたし、MIDIを使って録音したものもいくつかあるが、今回は機材的には本当にテープやMD,DATやCDなどのメディアを一切使わず、譜面(長年使っているFinale)から音(今回初めてLogicを使ってみた)までMacintoshで制作し、実際に音を鳴らす機械は写真の機械で、一見普通のミキサーに見えるけど、中にハードディスクが入っていて、僕の音楽もUSB経由で転送し、音響のスタッフの犬塚さんという方によって、音量の加減もあらかじめ打ち込んで、曲によってや、曲の途中でのヴォリューム調整も自動的にフェーダーが動いて適切に出力されるという、完全なデジタル仕様の作品となった。
試演会であぶり出されたいろんな問題点を検討し、明日から「小学校仕様」のリハーサルが開始され(もちろん昨日も今日も作業は続いているが全体のという意味)、劇場公演はたしか、来年初頭に東京方面、そして満を持して名古屋では三月に行われるらしい。
それまでには色々変わっていくだろうし、変更に対応できるように今回は「生演奏の録音」という手段を執らなかった。
自分の経験としても、自作自演のものとは次元が違って、歌ったり動いたりする相手がたくさんいるわけで、単に情景を表す劇音楽とは違って、半分はミュージカル風にも作られているので、音楽を考えて譜面にすること、それを、役者達に教えること、そして実際に本番で鳴る音楽を音にすることという作業を一人でやってきたわけで、とても忘れられないものになった。
やはり大学の頃に演劇を専攻したこと、Musicalをたくさん経験したことは、自分の世界観に影響を与えているのだろうし、数年前に“セロ弾きのゴーシュ”を書いて以来、作曲をするということが自分のアイデンティティにとって演奏すること以上に比重を占めているかもしれないということも同時に実感した。
しかし人形劇は大変だ。
自分が普段関わるミュージカルは役者と別にスタッフがいる。
彼らは基本的にすべてのことを自分たちでやるし、第一人形を活かすためにとても無理な体勢で僕の書いた歌を歌わなくてはならない。
しかも、ミュージカルの様に、常にマイクが体にくっついている訳ではないから、試演会でも独唱者が舞台の奥に行ったときにどうしても声が遠くなって聞き取りにくいということがあちこちにあってその問題点をこれから様々な会場でやっていくことにおいてどう解決するかは、歌の上達うんぬんとは関係ないところでもっとも気がかりなところだ。
音そのものもまだ試行錯誤しており、とりあえず19日の初演まで名古屋のホテルでいじくり倒してみるし、たぶん帰って来ても細かい修正は来年まで続くだろう。
そのうち、都合が合えば、生演奏での上演も視野に入っているようだから、それはまたイメージが変わるだろうし、作品が一人歩きできるまでは相当子育てに時間がかかりそうで、もっと試演会では、達成感によって号泣でもするかと思っていたがちっともそんな気にはならなかったのが拍子抜けと言うより、問題点があまりに多くてとてもじゃないが、まだ出来た実感がまるでない。
さてどんなスタイルの音楽になったかは、一般公開される来年(それまでにはもっと歌も上手くなっていると思うし)をお楽しみに。
来年の今頃は、自分の作品としては過去もっとも演奏回数の多い作品になっているだろうから、納得いく音楽にしたいと思います。
日曜日の試演会には、はるばる東京圏からも何人も駆けつけてくれた人がいて、感謝でした。
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● COMMENT ●
お疲れ様です
楽器フェア
24日録音、お疲れ様でした。
取り敢えず昨日は粗編集の物を入れて上演しました。今日からはもう少し細かく編集した物を入れての上演になります。
細かく見てみるとパート毎にリズムを取るタイミングが微妙にずれていたりしてますね。直せる範囲で直してありますが、矢張り後日時間を掛けて録音し直した方が良いですね。まあズレていると言っても1~2フレームくらいですが、これを修正して言葉の頭を揃えるとより言葉が明確に聞こえてきます。
これからも宜しくお願い致します。
帰り際に一寸話題の出たタイトルの楽器フェアですが、下記の通り開催されます。
■開催日/開催時間
2007年11月1日(木)~4日(日)/10:00~18:00
■場所
パシフィコ横浜展示ホール、国立大ホール
私は、3日4日は東京に行ってますので時間が出来たら見に行こうと思います。
試演会
感動の2時間でした。
人として、母として 生きる ことを考えさせられました。
人形や、役者さんが動く
これも素晴らしいのですが、
音楽や、歌が 心に語りかけ、この作品のテーマを支えているように思いました。
その機械の難しいことは わかりませんが、私には、血の通った暖かな音楽に聴こえました。(勿論、生演奏ではないので、違いはあります)
歌がとってもいいのです!
最初の歌が、最後に皆で歌われた時、涙が止まりませんでした。むすび座 全ての人の心、この劇に人生をかけた人々(白石さんは勿論です)の心が、届いてきました。
これから この劇に出会う人のために、詳細は書きません。でも、日々 進化している この劇 まだまだ 先があるようですね。楽しみです。ずーっと見守っていきたいです。
お話を伺っていると、「開発」って言葉が頭に浮かんできます。
完全デジタル仕様ですものね。
緻密な作業と汗がはじける舞台がどんな風に一体となるのか?
仔鹿物語の映画だけは見たんですけど、
正直、いまのところまったく想像つきません。
待つしかないですね。
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一昨日4度目の公演を小学校に観に行ってきましてその後、合唱する曲のところのいくつかを録音しました。
どうしても人形の操作や舞台袖に入ってものを取ってくるなどの事があって、生で歌っているとどうしても歌が薄くなるのでその部分は録音でも補完しようということになったからです。
僕の作った音のデータにそのまま彼らの歌声を直接コンピュータにハードディスク録音しました。
犬塚氏は今回の音響のスタッフで大変お世話になっております。
業務連絡としては、歌とずれているところがあれば、今度は逆に声のトラックの部分だけいただいて僕の演奏の方をそれに併せるという作業で解決もできるし、オーディオデータの扱いにも慣れるから(爆)、それでもいいかなと思います。
音楽と歌がミックスされたデータをいただけたらと思います。
また近々データを修正して名古屋に伺いたいと思います。
たぶん今日で開幕以来6回目の公演でしょうが、毎日違う場所で当日搬入当日搬出という過酷な公演、皆様お疲れ様です。
11月からは照明も音響もスタッフが退き、基本的に役者がすべてのことをやることになります。
大変だぁ。
楽器フェアは行きたいのですが、行けるとしたら4日かなあ。