教えて貰わないことを実践する勇気が大事かな - 2012.12.22 Sat,22:18
そうでないと、話の流れがわからないからです。
CDとして録音した、元NHK交響楽団のトランペットの津堅さんと録音したものの中のアルチュニアンのトランペット協奏曲についての話です。
実はこのアルチュニアンの協奏曲、終楽章(って全部繋がっているから譜面上は別れてないけどやる人はわかる)の間奏の僕の独奏部分に仕掛を僕(実は僕だけがやってることだとは思えないが)が施していて、ごくたまに学生さんから「あそこはああいう風に鳴らすのは不可能なはずなのですが、どうやって弾いているんですか」と質問が来る箇所がある。
答えは「これは勿論ピアノの曲では無く、オーケストラが原曲なので僕はそれを忠実に『裏技』、あるいは『秘技』を使って再現しようとした」と答えます。
これじゃピアノを弾かない人には何だか判らないよね。
でも良いです。
そういうことなんです(爆)
そういう説明をしてもピアノの人が頭が硬かったら全く理解できないでしょう。
という以前に、そういう質問をしてくる事自体、普通に(才能云々では決して無いぞ)、「聴きゃあ判るだろうに」と思うのですが、、、
要は、「音楽にしよう」と考えれば良いだけの事で、そのためには手段を選ばない、あるいは、あらゆる手段を駆使すれば良いだけの話。
もっと言えば「本来オーケストラならそう聞こえるはずだから」それに忠実に「面白くしよう」と思ったからであって僕は現実にピアノを弾いたけど頭の中ではピアノを弾いてるつもりはありませんでした。
で、答えを聞くと、「え?そんな事しても良いんですか?」って言われる(言われなくてもその類の反応が返ってきて、じゃあ、やっぱり自分はそれは禁じ手っぽいというか、ふざけているように見られるからやれない」と言う空気になる)。
なんで、しちゃいけないんだろうなあ。あったま硬いよね。
なんで、先生に習ったことしかやろうとしないのか、あるいは、「習ってないことをすると怒られる=やっちゃ行けないこと」になるのかなあ。
あの演奏はレコーディングだから出来る技じゃ無いよ、ライブだって僕はやってみせるが、彼女達はライブだからこそやっちゃ行けないと思い込んでいるんだ。
だって、ピアノを弾くなら行儀が悪いと思われるのかも知れない(そんなこと決して無い)が、こういう曲は元々、「ピアノを弾いちゃいけないの、音楽を、もっと具体的に言えば、オーケストラを弾くの」です。
もしそれを実行して叱る先生が居たら、そっちの方が頭がおかしいし、それどころか「良く譜面に書いてない、音楽の『あるべき姿』を解釈した」と褒めるだろうと思う。
たしかに分からず屋の先生も居ない訳じゃ無いけど、これをして誰にも迷惑はかけないのだから誰にでも推奨したい。
ただ、「恥ずかしい」とか良く判らない「変わった事をしたら変に思われる」という変な常識がそれを妨げる。
ええと、すべてのことを「習う側が実現する前に教えてくれる人」なんか居ないのに、言われてないことはやろうとしない。
そうなんですよ、クラシック音楽って「書いてある音を拾って弾いている」と思われがちですが、それはほぼ独奏のピアノの曲に限られています。
本当はそれだってちょっといい加減と書くと誤解を招くが、もっと自由で良いところもあると思うが、はっきり言って、オペラやミュージカルのナンバーや器楽の為の協奏曲をピアノで伴奏しなければいけないとき、数十人が弾くようにびっしり書いてある音符を全部二本の手で拾うことは不可能だから、「譜面の奥、ないしは音符の隙間に書いてあることを、眼に見えている譜面の表面に書いてないやり方で弾く」という禅問答みたいな事を、独奏ピアニストじゃない人達が、日常的にやっていることで、そういう技術は、もの凄い量の音楽を暗譜したり、もの凄く細かいパッセージを鮮やかに速く弾いて客を驚かせる類の「技術」とは全くかけ離れた伴奏をする人のみがたぶん、あまりそういう事を人に習わないで現場で培っていく独自の技術です。
(本当は独奏も伴奏も音符の向こう側をイメージすることは同じなんだが、「即物的に書いてある音だけ弾いていては成り立たない」という意味で書いています。)
だから、伴奏をする人は自分で考えるのがおっくうで「習い事大好き」な性格じゃ務まらないかもしれません。
自分で、凄く困った状態になった状況のたびに自分で抜け道を探さないと、「書いたとおりには物理的に弾けない」ことが多いわけですから。
もちろん、そういう事を親切に教えてくれる人も居るでしょうが、面白いもので、自分で「気づいた」事は応用もできるし、頭にしっかり鳴る(から出来るとも言える)。
(僕は頼まれたら教えちゃうから育てられないのかも(爆))
かつて、僕の友人のオーボエ吹きが、「『上手く弾いてやろう』なんて利己的な考えで音楽をする奴は許せん!」と、実に上手く真髄に触れるような事をJokeにして言った事を思い出します。
まさにJokeを超えている名言だと思うが、それですよ、上手であるより前に、音楽の海に飛び込めばアイデアはいくらでも出てくるんですよ。
(どうでもいいが、これを見ているおっさん、想像してエロいコメントしないでください(爆)その想像はあながち本質的には間違えては居ないが、そうじゃ無い(爆))
何を書いているのか全く理解できない方はとりあえず、演奏を買ってじっくり聴いて見てください(爆)
曲の最後の長〜い間奏の時に起きている事です。
もし、気づかなければそれはそれで幸せだし僕のやった仕事が如何に自然に聞こえたかということの証明になります。
だから僕の勝ちです(誰に?爆)
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