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    ついに新作“オツベルと象”、最後まで作曲できた - 2011.04.01 Fri,20:48

    きゃら鍵盤の上で寝る2011/03/31今まで他の部分は相当な回数の修正はしてきましたが、ついに、今日の午前2時40分ころ、新作“オツベルと象”が、最後までとしては第一稿が完成しました。

    考えてみれば僕が書いた“どんぐりと山猫”“セロ弾きのゴーシュ”“注文の多い料理店”もこれも、異界(喋る動物が出てくるという点など)との接触物語なのであり、だから音楽がその異界を表す要素になるのであり、作曲の動機付けにもなったわけです。


    “どんぐりと山猫”は一郎が山猫の手紙を貰ってから、いきなり異界に入っていきます。
    景色や登場人物の、心象風景みたいなものを音楽で表現しました。

    だからどこに音楽を付けるかは作曲家のさじ加減一つなので別の人が書いた作品とは音楽のありかが全く違うはずです。


    “セロ弾きのゴーシュ”は、音楽を演奏する物語なので、ある意味音楽がどこにあるべきかは最初からはっきりしているので、どこに音楽をつけるか悩むことはほとんどありませんでした。

    異界は最初の晩にやってきます。ある意味“どんぐりと山猫”は最初から最後まで異界の話でしたがこれは現実の世界と並立しています。


    “注文の多い料理店”も“どんぐりと山猫”と似ているところがありますが、最初と最後には現実の世界がきちんと存在しています
    ですから、ほとんど二種類の音楽で構成されました。

    異界の森に入っていくのと出てくる音楽と、山猫が構築したレストランの中の世界です。


    さあ、“オツベルと象”です。

    もちろん、これは象が喋るので全編異界と云えばそうなのですが、“セロ弾きのゴーシュ”の様に、現実と真夜中の異界が分かれていません

    現実の経済活動(稲こき機械のある工場)の中に、ひょっこり白象がやってきます。
    白象もしゃべるけど、お月様もしゃべりますし、今までの作品と違うのはオツベル以外の雇われている人たちもちゃんとそこにいて活動しているのです。

    今までは主人公に当たる人しか異界の動物たちと話してないので、個人的な夢みたいな世界だったから、“オツベルと象”は今までの物語とちょっと構成が違います。


    Mozartの音楽もそうだけど、一瞬聴くとみんな似ているようでどれも同じ戦略で書かれてないように、僕が取り上げた四つの賢治のstoryも、世界観がそれぞれ違うのが本当に面白い。

    もともと山猫合奏団は賢治だけにフォーカスを当てて作曲する団体を作ったつもりはないのです。
    たぶん、次の作品は別の作家のものにしようとは思っていますが、偶然4つの作品を経験してこういうことに気づけたのは幸運だと思います。


    “オツベルと象”でもう一つ重要なのは、冒頭の題名のところに書いてある「ある牛飼いが物語る」という設定です。

    だからなのか、とっても文章が僕が書いた前述の他の作品と文体が違います。
    明らかに、朗読されたいようなリズミカルな韻を踏んでいます。

    その中で白象の台詞や、お月様の台詞をどう処理するか。異界の中の異界と現実のオツベルの役割を考えるのは他の作品とは違いました。

    “注文の多い料理店”の山猫の「張り紙」は歌で表現しました。

    さあ、今回のオツベルと白象のやりとりはどうなっているかは本番を楽しみにしていて下さい。


    あまり書くとネタバレになるので、ほのめかして置くことにしますが、この「牛飼いが物語る」と断っている構造が、最後の意味不明な一行(原作を参照のこと)に繋がっていて、それもはっきり僕は意識して書きました。

    まあ、賢治の原稿がぐちゃぐちゃで、その一行の中のある一字は不明だそうですが、僕は勝手に(というか中学校のころ見た教科書にはある言葉に明確に置き換えられていて僕はそれをそうだと思うので採用させて貰いました)読んでいる分には「一字不明」で成り立ちますが上演するには決めないと行けないから、賢治マニアからすると、「それを勝手に云ったら、決まってないのに反則だろう」と云われようと何も気にしません。

    僕なりのアレンジも音楽的にかなりの部分文章に施してあるし。

    でもそのアレンジは、今まで三つの作品では試さなかった、声の可能性、そして二人で語るという事が最初から想定された初めての作品ですから、今までのものとは同じ二人の語り手の上演でも根本が違います。

    今までは語り手は一人という前提で書かれていて、二人でやったほうが面白いから最近二人でやっている(“セロ弾きのゴーシュ”cellistがゴーシュをやるから三人だけど)ことが多いのですが、今回のこの作品を本来の形で演じるには、語り手一人では出来ません。



    誰に発注されたわけでもないし自発的に書いた“どんぐりと山猫”以来の作品なので、この作曲料がどう僕に入ってくるのかまったく分からない(爆)趣味の作品状態だけど、そうだから、他の作品と違って、締め切りの概念が全然違うので、毎回練習のたびに譜面が入れ替わることに、共演者はもう疲弊しきっているが、良いものにするにはそんな不満を留意するつもりは全くない。

    他人に仕事で発注されて自分の作品を作ってきたけど、やっぱりどこか制約があり遠慮が入るのだ。
    (その後自分のものになった時から変貌は遂げているが)

    今回のものは自分の思ったことを全部やってみたい(まだまだずっと思っていて実現してないことはいくつもある)ので、5/1以降も大幅な変更を施す可能性がある。

    だから、3/30に初めて全員の音を聴いたが、もっと卒倒するぐらい感動するかと思ったんだけど、たしかに感動したのだが、自分がリアルに一度も聴いたことはなくても、毎日頭に鳴らし続けていたので、予想どおりというか、確かに感動したが、意外な事はほとんどなかったのにはびっくりした。

    あたりまえだが他の人たちの耳に聞こえていたものとはたぶん違うだろう。


    一日中のほとんどの時間、今はこの事ばかり考えているので、事務的連絡も失念が増えているし、周りには迷惑もかけているのだが、風呂に入っているときや電車に乗っているとき、自転車を漕いでいるときにどんどん新しいアイデアがでてくるし、そして練習して他者の勘違いや面白い表現を浴びることによってどんどん音や拍子が変わっていっています。


    なんか今までの作品となにか恐ろしく違うのが、聴いてくれる人に全くこの面白さが通じなくてもたぶん僕はショックを感じないだろうという確信があるのです(爆)

    前はネガティブなことを作品について云われると結構ダメージが大きかったのだけど、今回はあまり外側におどおどしている感じが全くない。

    だからといって独りよがりにはなるつもりはないが、何時だってそうだが、新しいことをするときは、聴衆より共演者に自分の思いを伝える方が難しいのだ。

    なんか、作曲してるのに、「この物語にはこういう音楽が一緒にあったら面白いだろうな」というまったく観客の気分でいるところもあるから、どこか自分じゃない人が書いているような錯覚に囚われて、pianistの立場でみんなと一緒に練習していると、弾けないところはたくさんあるし、実際に音を出すととても新鮮な感じがするときがあるのです。

    やっぱり他の三つと違って、この作品を書こうと漠然と思いだしてから30年が経っているという思いがあるのかも知れません。


    BrahmsのSymphonyやPiano concertoも数十年がかりで書き換えたものがありますが、もちろんそれとは比較するなんておこがましいけど、数ヶ月で発想して書いたものとはなんか違うので、他人事に数十年、とか云われても自分の中でそれに対する集中度はあまり時間の経過を伴ってないので、気がついたら数十年という浦島太郎みたいなものですよ。(爆)

    20代で漠然と思っていたこと、そしてその間に譜面にはしなかったけど、着想はいくつもあったので、それが今噴火している感じと言えば良いかな。


    そのせいか、練習していると異常に集中しているので休むことを忘れてしまうので共演者には申し訳ない。
    でも一瞬休憩しようと思って共演者の顔を見ると、今まで見たことがないくらい疲弊しているのがわかって面白いね(爆)
    これで鮮やかにいとも簡単に演奏し、語って見せたら、練習しないでも出来る朗読と音楽の作品とは根本的に聞こえ方が違う事になるだろうから。


    “ジョディと子鹿のフラッグと”を書いていたとき、演出の関矢幸雄先生が、常に「「技」を舞台で出すこと」の重要性を説いていた。

    その時は、人形劇だったが、人形遣いが生身の人間としての舞踊的所作とか様々な小道具を使う表現とか、「培われた技」、彼はそれを「業」(わざ)という漢字で表現し、「人形劇」を「人業劇」と書き換えて上演していたが、まさにその時教わったスピリッツを今回活かしたいと思っています。


    今までの作品は、ある意味役者寄りのところ(反論は十分に期待するが)があって、pianoのパートを他人に弾かせると、その人の持って居るドラマツルギーというか、imaginationが欠乏していると本当に語りにくい状態になったものだが、今度は逆だ。

    完全に音楽寄りで、役者が楽器にならないと行けないので、器楽のパートも難しいが音楽家なら、これを普通に読んでいけばすぐにこの世界を表現できるが、役者は一瞬たりとも気が抜けないので(自由に朗読する箇所は一箇所もなく音符で支配されているので)音楽的センスのない役者では務まらない。

    まあ楽器を吹かせたりするので、山猫合奏団が僕が最近世話になっている劇団あとむ化しているとも言えるのだが(爆)


    まあこの演奏は5/1に行われるのだが、その前に試演会をしようと思っていて、非公式な僕の集まりが来週あるので、そこでぼろぼろにはなりそうだし、Bassは来られないので編成も少ないけど、初めて連中も聴衆が居るところでどんな事故や暴走があるかを知る必要があるので、今日書いた譜面はその日までには根本的にはもういじらないことにするつもりです。

    朝は猫の写真がUploadできなかったので、夜にして、再投稿しました。故にtwitterは朝の発言になってるけど、この記事では夜の投稿時刻に変更します。

    写真は、作曲の邪魔をして、鍵盤に寝そべる、実に巨大な猫。

    でも左手の指の形がなんか、Pianoを弾くには力強そう(爆)
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    (新しい記事には極力付けるようにしていますが、全記事検索にはほど遠い状態ではあります。
    少しずつ古い記事にもtagを付けていく所存であります。
    検索しやすいように日本語でtagを付けていましたが、URLにすると、メールなどで、日本語の部分を認識してくれないことが判りましたので、今は日本語で書いた方が良いと思われる地名や固有名詞以外のものは英語に書き直していますが、勿論一辺には出来ないので同じ言葉が日本語と英語で別れているという妙な事になっていますが、追々統一したいと思います。)

    My Works

    iTunes Storeで配信されている、僕の作曲した作品です。
    両方とも宮沢賢治の物語を元に「語りと音楽」による編成で作曲されています。
    “どんぐりと山猫”については、ここ
    “セロ弾きのゴーシュ”についてはここ
    に補足説明があります。
    これらの作品の生演奏のオファーも随時ここで受け付けています。

    二つの作品のうち、“セロ弾きのゴーシュ”はこの真下の欄にあるようにCDとしてもリリースしました。

    お断り

    commentやtrackbackは記事そのものに直接関係ない(記事が取り上げていることに関連があったにせよ)と僕が判断したものは断りなしに削除させていただきますし、頻発する迷惑投稿を拒否するために認証後反映する時もありますのでご容赦。

    PhotoはものによってClickすると写真共有サイトや、そのまま大きいサイズで見ることができます。

    様々なテーマについて投稿することにより将来的には一種の白石准の百科事典のような「作品」に成長していくことを期待しています。

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