明日の山猫合奏団のゴーシュの前には再びラ・フォンテーヌの寓話に挑戦します - 2010.05.03 Mon,23:03
http://juninho.blog16.fc2.com/blog-entry-1154.htmlや、
http://juninho.blog16.fc2.com/blog-entry-1157.htmlの記事に意気込みをもって記した試みを、今回は、オリジナルの歌唱はなしなので、果たして独立したパフォーマンスが上手く成立するか不安でもありますが、数ヶ月ぶりに挑戦します。
それについて明日にたぶんプログラムに載るであろう、この試みについての原稿を追記に紹介しておきます。
興味を持った方は明日会場にお越しください。
まあ、もう修正は間に合わないけど、文字数も制限があるし、この文章は僕が書いた乱文を高山正樹氏が見事に再構成してくれたものなのですが、誤解を招きそうな箇所をまた混乱させるように書き直してみました(爆)
「ピアノの独奏曲より歌曲やソナタの伴奏の方が好きという、おかしなピアニストがここに生まれたのです。」
とあるけど、もちろんこれは、どちらが好きという問題ではなく、
「独奏するのもピアノならではの楽しみではあるが、歌曲の世界、そして詩の朗読や劇音楽の中でピアノを弾く喜びを知ってしまい、ひいては自分でも言葉やストーリーとともにある音楽を作曲しようと思うようになった音楽家がここに生まれたのです。」
という感じのニュアンスです。
器楽とのアンサンブルをする喜びはまたツボが違う事です、この場合。
それは説明なしに明日のチェロとの対決(爆)、に象徴されることでしょう。
アンドレ・カプレ作曲
「ラ・フォンテーヌによる三つ寓話」
本来は歌曲として書かれたものですが、今日はピアノのパートはそのままに、歌のメロディー部分を言葉に置き換えてみるという試みを聴いていただきたいと思います。
幼い頃の白石准は、プロコフィエフの「ピーターと狼」やストラヴィンスキーの「兵士の物語」など、ナレーション付きの音楽作品を、作曲家である父親からあてがわれました。その中にはFMラジオを録音したサン・サーンスの「動物の謝肉祭」に面白い言葉がちりばめられた演奏などもあり、それらを好んで頻繁に聞いていました。
後に歌曲の世界をも知ることになって、古今東西の西洋音楽の作曲家が、言葉に対して多彩な音楽的アプローチをしているということ、言葉が表す具体性を音楽が包むことによって、その魅力が増加していることに、白石は興味を持ちました。
結果、ピアノの独奏曲より歌曲やソナタの伴奏の方が好きという、おかしなピアニストがここに生まれたのです。
様々な歌がありますが、美しいメロディーでありながら、すぐに覚えられるような物ではなく、どちらかというと、邦楽の三味線や琵琶に合わせて語られるものに近いような、「歌う」というより「喋る」に近い作品というものも存在します。「ラ・フォンテーヌによる三つ寓話」は、そのひとつです。
この作品は、その原作となった寓話は有名ですが、演奏されることは実に稀です。たとえやられたとしても、詩の言葉は案内プログラムに印刷される程度で、観客は歌声とメロディーを楽しむことで満足します。こうしたことは、日本における歌曲のコンサート全般においていえることです。でも、本当は、歌を聴きながら同時に詩の内容が分かるに越したことはないはずです。
さらに、カラスが咥えていたチーズが地面に落ちる音や、うだるような暑さのなか蟻がよたよたと歩いて行く音、気持ちよさそうに蝉が歌っている空気感、狼のうなり声、子羊が清流のなかで水を飲む音などなど、それらは歌詞にではなく、ピアノの音の中に書いてあるのに、フランス語を聞き取れる人がほとんどいない日本では、ピアノの音を「歌を盛り上げる伴奏」としか聞いてもらえないことに、白石はいらだちを感じていました。ピアノの音が、具体性を持った効果音として伝わらないのです。
そこで、今回の前半の試みとなりました。音楽が語りを補足するのではなく、語りもまた音楽を説明しています。また、具体性と情緒性を、言葉と音楽が同等に受け持っているのです。(これは白石准の処女作“どんぐりと山猫”に相通じる要素です。)
いつの日か「ラ・フォンテーヌによる三つ寓話」を、オリジナルである歌とピアノの演奏で聴いて頂ける機会があればと願っています。その時は、歌い手が二人の登場人物と語りを歌い分け、ピアノが合いの手で効果音を演じているということを、十分に味わっていただけるだろうと思うのです。
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● COMMENT ●
解説が正しいとは限らないけどね
解説
なるべく(FMラジオなどでも時々やっていますが)ちょっとしたことを解説していただける機会は貴重でありがたいです。
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まあ本文に書いたとおり、通常歌い手が、歌う「前」に解説したり、パンフレットに訳詞が書いてあったりすることもあるけど、リアルタイムで何がどうなっているか分かった方が面白いものはやっぱり日本語でやった方が伝わりやすいことはあるわけで、世界的に、外国映画は、字幕ではなく、吹き替えが主流らしく、どうしても僕らはオリジナルの声で聴くのが礼儀だろうみたいなところがあって、字幕・吹き替えが同時上映されていたらつい前者に行ってしまっていたけど、最近の映画は、人間のドラマそのものだけでなく、映像の仕掛けが画面のあちこちにあったりするので、字幕に目を移動させると実は見落としていたりするゆえに、吹き替えの需要が増えているそうですね。
それは、今練習に参加しているCHICAGOでの試みも同じく、やはり字幕じゃなくて芝居を楽しめたら最高なわけです。
まあ、共演者が面白がってくれているので、この先も他の作品で試していこうと思います。
それは、僕の作曲の勉強にもなります。