2017-10

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    作品の意図を伝えるのは客より共演者の方が難しい(爆)-山猫合奏団@わが町コンサート - 2010.02.12 Fri,23:01

    20100209記念撮影こういう言葉を何度も使うのは素人みたいで大人げないけど、やっぱり一昨日の東京の椎名町のバッハハウスでのconcertは、昨年の五月に続き、山猫合奏団、そして僕にとって再び歴史的な一日になりました。

    内容は、このリハーサルの記事にあるとおりのことを実現したからです。
    自作の“セロ弾きのゴーシュ”とともに、ラ・フォンテーヌの三つの寓話を基にした歌曲を歌曲としてだけではなく、役者と音楽のパフォーマンスの作品としてやってみたことです。

    その記事では「試演」と書いたけど、それはもちろん言葉通りの練習試合ではなく、「初演」に向けて本気だったことは事実で、今後その曲のそのやり方がフィックスしたという意味ではないから英語で言うTry Outという意味で書きました。

    午後と夜と二回の公演で聴衆の反応はとても暖かいものだったけど、僕は元来聴衆の反応というより共演者の反応がもっとも気にかかるところであり(爆)、今回の企画そのものは自分のなかで30年間いつか芽を出してやるという潜伏期間があったのだけど、こういう事はすべて、いろんな偶然のきっかけが合わさったときに突然チャンスがやって来るものであり、

    それを実現できた事に本当に喜びを感じました。

    それが実現できた原因は、何よりも、コンサートの主催が長年おつきあいのあるすばらしい歌い手であり、僕らの活動のすべてを支持、評価してくれている人見共さんだったということ。

    そして、彼女とかつて二度演奏した、カプレの作品が、まさにうってつけの内容(ラ・フォンテーヌの寓話)と作風(一見(一聴か)現代音楽風であり、メロディをすぐに覚えられる種のものではなく、しゃべりに音符が着いているようなスタイル)だったこと。

    そして、寓話の登場人物がそれぞれ二人(二匹)で構成されているストーリーで、僕が作曲した音楽で、散々役者の生理を我慢して(爆)、長年語り続けてきた山猫合奏団の手練れの役者が二名集っていたこと。

    最初、共女史はあくまで制作側なので歌う予定はなかったわけですが、せっかく地元の人にも、そして門下の人もおつきあいでたくさん来るのに歌わないのは残念だとはおもっていたからすべてが「良きタイミング」で実践できました。

    僕は会社員をやったことがないけど、想像してみました。

    さっき夜飯を食っていたときに、横の机で会社員の人が二人、「なんでこんなに細かい企画書を作って会議でプレゼンしないといけないか分かるか?」みたいな話をしていて、まったくジャンルは違うけど、そうだよ、やっぱり、どんな面白いアイデアや企画でも、組織全体でそれを「やる気になって実行する」には、その同志たちに共感して貰うプレゼンテイションが必要なのでしょう。

    ユーザーとか顧客とか観客を納得させる以前にそこでのイヴェントの説得力が大事なのだとはいくら社会人の経験がないとは言え、想像つきます。

    正直言って最初の会合、二度目の会合、リハーサル中はすべてが順調とは行きませんでした。
    でもそれは当然です。
    僕の中ですべてが見えて居た訳じゃないし、三人の楽譜の中には何も共通した台詞のメモがないからです。

    役者たちはかなり複雑な音符について理解できている訳じゃないし、僕も「書いてある音符うんぬん」を台本として彼らに「読んでくれ」とは要求するつもりはないけど、やっぱり役者の生理のタイミングで「言葉を読もうとすると」音楽が規定しているタイミングとは完全にずれたりするところばかり、、。

    しかも、原文にも、歌詞にもある「、、と狐は言いました」という語りの部分は一人でやるならいざ知らず、せっかく役者二人でやっているのだから、僕らの方で全部カットした(つまり芝居のようにやりとりがリアルタイムで進む)から、その部分の音楽が余る。

    しかも、ラ・フォンテーヌの訳された言葉は、今回のためにメンバーがもちよった資料(訳されたテキスト)は恐ろしくといっていいほど、文章の量とニュアンスがそれぞれ違う。

    だから、最初は、楽譜に共女史が勉強のために直訳して書いてある日本語と、彼女がこの演奏会のために書いたプログラム用の訳詞とまた市販されている本を三カ所役者たちは見てしゃべるから破綻する(爆)

    しかもカプレが作曲する過程で、かなり割愛してあるみたいで、オリジナルを演奏しようとすると、いわゆる状況説明の部分を何も言わずピアノだけで説明しなくてはならない。

    前述の通り、僕も漠然とした気持ちで、前述の記事で書いたように、完成品がはっきり見えて居たわけではないので、リハーサルのたびに違うインスピレイションが湧いて来てそのたびに要求すると役者も閉口だ(爆)

    一時は、役者に勝手に読ませて、必要な「効果音的な音」だけ飛ばし飛ばし弾いて「説明」しようとまで思ったけど、結果は、何度もリハーサルを重ねていく間に、役者たちも音がどんどん聞こえてくるようになり、それに合わせてテンポやリズムで僕の方が、たまに譜面から外れて待ったりすることはあっても、歌の伴奏として弾いているときとほとんど同じように弾く上に役者たちのパフォーマンスが上手く乗ったと思います。
    しかも三曲それぞれ、スタイルの違いを際立たせて構成させることができました。

    (敢えて「語り」とか「演じた」なんて曖昧な言い方はしないよ。検証したかったらまたこういう催しをするときに自分の耳で確かめてください。どれでもあってどれでもないから。)

    つまりこの試みは、発案者として、結果の確信の無かった時点での心持ちとしては、歌詞の単なる説明を超えた見せ物にしたいとは思っていたけど、まさか、それ自体が独立したものになるとまでは期待してなかったわけに思えたわけです。

    なんで、思えたわけです、なんて曖昧な書き方をしているかというと、30年間どこかで萌芽するのを待っていた、と前にも書いたけど、今回練習が進むにつれて、役者たちの中に自発的な意図が出てきたときに、気づいたんです。
    自分が“どんぐりと山猫”などを書いていたときから、こういう風に役者とある種の歌曲を演じてみたいという気持ちがあったことを。
    そして、一旦火が付くとどんどん延焼してきて、役者たちがその音楽に共感してきたのを感じるともう後は僕の作品を30年間語り続けてきたキャリアが味付けを彩りのあるものに化学変化させ始めました。

    そうです、これが、件名の意味するところだったのです。
    歌詞の説明じゃなくて、これ自体が作品になれば面白いと思ったのです。

    もちろん、聴いてくださる人にインパクトを与えたいと思ってやっているわけです。
    (セロ弾きのゴーシュのこともお褒め頂いたけれども、前半のパフォーマンスについてかなり面白がってくださって熱弁をふるってくださった人が何人もいらっしゃったのでそれが今回はとても嬉しい)

    その上で、自分の意図が自分じゃ実現できない事をその専門家がやってみせたときの達成感というのは、どうだろうな、サッカーで自分のパスが、アシストになってチームメイトがシュートを決めた感じというものでしょうか。

    面白いことに、今回の催しで作品のある意味、真髄に触れたのは、役者たちと僕だったということです(爆)

    僕は学生時代にフランス語をちょっと履修していたので、たぶんフランス語に明るくない(と思ってるけど違ったらごめん)役者たちよりは文脈を辞書を引けば自力で訳せるけど、そうじゃない彼らもリアルタイムで内容に沿ったパフォーマンスをしたすぐ後に、オリジナルの歌唱を観客と同じく鑑賞するわけだけど、リハーサルを含め、なんと「譜面を見ながらその演奏を聴く」ことによって、だれよりも言葉と音楽の関係を深く理解しながら鑑賞したという結果になっていたわけです。

    そして、特に二曲目の「蝉と蟻」に於いては、オリジナルでは糞暑い夏の状況が譜面にして一ページとちょっとの長い前奏の中で表現されていて、歌い手は、その中で気持ちよく蝉が我が世の春(夏か)を謳歌しながら鳴いているところから始めるのですが、語り手がその前の季節と暑さ、そして蟻が働いている状況を読みながらまさに蟻がよたよたと運搬作業をしているそのままに聞こえる前奏を弾き始めると、弾いていても「何をしているか解りながら弾いていてきっと聴いている人もその話に入り込める」と思いました。

    この試みの結果自分が予想していたこと以上の確信が持てました。

    けっして、すばらしい歌唱をしてくれた共さんの価値、そして歌曲としての価値をおとしめるものではないつもりで繰り返し書きますが、これは、歌手なしでも成立する一つの作品になれるかもしれないということに気づきました。

    もちろん、たった二回、そして一日の出来事ですから、今後何回もいろんな機会にこの作品はとりあげなくてはならないし、きっと聴いた人も数回聴くともっといろんな事が聞こえてくると思うので(リハーサルしていて実際そうだったから)、他にも散文的だったり寓話的な歌曲(いろいろ企みは具体的に僕の中で用意しています)を選んで同じような路線でやるつもりです。

    山猫合奏団のページでは告知されていませんが、あの日を境に終演後、人見共さんも山猫合奏団の正式メンバーと僕は委嘱、そして任命させていただきました。
    このシリーズは今後も続けます。だって素材は無尽蔵といって良いくらいありますから(爆)

    だから本当は作曲ではないけど、作曲をする発想で既存の曲を再構成したので、ブログのカテゴリは作曲の中に入れました。
    作曲しながら、言葉と音楽をどういうタイミングで並べるかという作業を、今回は役者たちとリハーサルの中で、リアルタイムにやってみたという感じです。

    前日のリハーサルでスタッフの人たちが、「ラン・スルー」(停めないで最初から最後まで本番通りにやること)を期待して客席に集っていましたが、あまりの「一時停止だらけ」に開始直後、たぶん呆れて帰ってしまいましたが(爆そして、通せば10分くらいのものにその後、セロ弾きのゴーシュを除いて5時間くらい練習したよ。)、本番は一番興奮していたようでそれも嬉しかったです(爆)
    リハーサルなんて見せ物にはならないものなんですよ(爆)

    でも僕らのやっていることが毎回毎回、まだ聴いて(観て)もらってない人にはジャンル分けで言うと説明不能だということ自体を解って貰うことがとても難しいということ自体を解って貰ったひとが何人もいて痛快でしたが、前半のものもまたこれ説明はかなり難しいだろうなと思います(爆)

    でもはっきり言えるのは、朗読に音楽を合わせているのではなく、どちらかというと、音楽に朗読を合わせている種のものであることは確かだね。

    メインの“セロ弾きのゴーシュ”は、音楽を演奏するストーリーだから、我々としたらある意味僕の作品としてはもっともシンプルで、誰でも発想するところに音楽が入っています。

    でも前半の出し物のようなものはオペラでもミュージカルでも朗読のBGMでも、もちろん歌曲でもない微妙なところで、その微妙さが醸し出す面白い世界だと思います。

    写真は前日の会場でのリハーサル(ゲネ・プロのはずがその時点では一度も通せなかったけど)の記念撮影です。
    左から、(敬称略)今回はスタッフで参加の宇夫方路、チェリストでゴーシュを演じた(から一人照明が当たってる(爆))大島純、役者の楠定憲と高山正樹、そして歌い手の人見共、そして作曲、構成と司会の白石准です。
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    ● COMMENT ●

    これからが出発点だということだね

    高山ちゃんの文章読みました。
    本気になってくれたことが今後楽しみになるところと、企みの張本人は喜んでいます(爆)

    僕は他人と違ったことをすることに快感を持っているわけじゃなくて、せっかく役者という知り合いがたぶん普通の演奏家よりは多いと思っているので、音楽畑か演劇畑かどっちかに決めるのではなく、まあ僕の立場からすると、僕がやりうる音楽の形を役者とやってみたいと思っているわけですから、そういうことに興味を示す声楽家や演奏家、作曲家、そして僕はまだ企みがあって、パントマイマーやダンサーたち、人形遣い、美術畑の人、あるいは言葉を生む人たちともこういうことを拡げていきたいと思っているのです。

    かつて一回やったことあるけど(それこそJ.P.S.が最近いつも演奏している代々木のMUSICASA)Poulencの書いた、「画家の仕事」というエリュアールの詩に基づく画家の肖像みたいな組曲があって、あれは絵を掲示しながら演奏したよ。

    そういうのまたやりたいし、前述の様に、言葉を挟まないで身体表現だけで、音楽に彩りを添えるというの(かつて、サイガバレエで、ドビュッシーの子供の領分を作ったことがあったし、今はアヴァンギャルドの舞踊家として世界的に有名になった勅使河原三郎ちゃんと、ドビュッシーやシューマンの音楽で彼がパントマイマーだったころに良く共演したけど、あれは最高に楽しかった)もやりたい。

    演劇的メッセージ

    Official_Blog 演劇的メッセージ
    http://lince.jp/lince/acorns_history/siinamati.html
    皆様、ご一読のほどを……

    詳しい写真は

    ゴーシュを演じた大島さんのブログにあります。
    http://d.hatena.ne.jp/john-maius/20100211#p1

    あと楠さんの同じ劇団のみくさんもブログで取り上げて下さいました。
    http://gokigen-gokigen.blog.so-net.ne.jp/2010-02-10-2

    雪さんご感想感謝です。

    初演おめでとうございます。

    先ずプログラム通り 感想書かせてください。

    チェロ 
    湖面を波紋を描きながら滑る白鳥のようにチェロが始まって、
    あまりの美しさに、涙が出そうになりました。
    親愛の言葉は、情熱的でカタロニアの民族色が濃い曲でした。
    踊りの要素もあるんじゃないかな?情熱的でくらっと来そう!

    ラ・フォンテーヌ
    役者さんの朗読だけで最初やって、あとから本来の歌なのかと思っていました。ところが、どちらも音楽がついて、しかもピアノと歌と言葉の垣根がとりはらわれているような錯覚をおこしました。

    最初の役者さんのは、会話やお話が、うまく音楽に乗っかって、
    歌は歌っていないけど、これも歌のような朗読なんだな!
    視覚的にも高いところ低いところ 左右
    ピアノで、動物の様子や天候や情景
    そして、今度 歌は一人で何役も、そして音楽的な美しさも抜群でした。
    人見さんの表情豊かな お顔 声 魅了されました。
    朗読?も言葉がすごく考えられているのが よくわかりました。
    だから、私達は、説明と歌を聴いたのではなく、
    同じ曲を違う表現で2度聴いたことになります。
    曲というより舞台と言った方がいいのかも。

    勿論、フランス語は殆んどわからないので、役者さんの曲があったからこそ、歌の面白みも増すわけですが!!
    これぞ 白石マジックですね。

    セロ弾きのゴーシュ
    毎回進化しているようですね。
    印度の虎狩は、ミングルで演奏するようになってから、初演と少し感じが変わったように思います。私が変わったのかな?
    どの曲も私の中ではおなじみになっているわけで、どれが好きってきかれても困るくらいですが、やっぱり「印度の虎狩」かなぁ

    で、第6交響曲が何回か出てきますが(これも好きだなー)、そして下手くそゴーシュがいて!
    これが、はまってしまう下手ぶり!でも、聴き手の私も進化しましたよ。
    最初聴いた時、大島さんがあんなに下手に弾いて大丈夫かしらって心配してしまいました。今では、今日はどんな風にって期待してしまう(笑)
    また、今回は新たに、楽長さんから叱られゴーシュに、自分をみているようでなんか笑えなくなってしまった自分がいたり。
    まあ、ともかくも、これが最後の第6交響曲では、本当に心から拍手したくなるような演奏で、スタンディングオーベイションしてここで終わってもいいとさえ思ってしまいます。
    これは、単なる朗読では味わえない またありえない感覚だと思います。
    だって、セロの上達ぶりを実際に経験してしまうわけですから、このお話の面白さの感動と曲の素晴らしさへの感動が重なります。
    これも白石マジックでしょ!
    そして、最後にどかーんと「印度の虎狩」それも、バージョンアップしてきたしv-19

    楽しませていただき、ありがとうございました。
    また、新しい白石ワールド期待しています。


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    (新しい記事には極力付けるようにしていますが、全記事検索にはほど遠い状態ではあります。
    少しずつ古い記事にもtagを付けていく所存であります。
    検索しやすいように日本語でtagを付けていましたが、URLにすると、メールなどで、日本語の部分を認識してくれないことが判りましたので、今は日本語で書いた方が良いと思われる地名や固有名詞以外のものは英語に書き直していますが、勿論一辺には出来ないので同じ言葉が日本語と英語で別れているという妙な事になっていますが、追々統一したいと思います。)

    My Works

    iTunes Storeで配信されている、僕の作曲した作品です。
    両方とも宮沢賢治の物語を元に「語りと音楽」による編成で作曲されています。
    “どんぐりと山猫”については、ここ
    “セロ弾きのゴーシュ”についてはここ
    に補足説明があります。
    これらの作品の生演奏のオファーも随時ここで受け付けています。

    二つの作品のうち、“セロ弾きのゴーシュ”はこの真下の欄にあるようにCDとしてもリリースしました。

    お断り

    commentやtrackbackは記事そのものに直接関係ない(記事が取り上げていることに関連があったにせよ)と僕が判断したものは断りなしに削除させていただきますし、頻発する迷惑投稿を拒否するために認証後反映する時もありますのでご容赦。

    PhotoはものによってClickすると写真共有サイトや、そのまま大きいサイズで見ることができます。

    様々なテーマについて投稿することにより将来的には一種の白石准の百科事典のような「作品」に成長していくことを期待しています。

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