悪い人しかでてこない芝居、良い人しかでてこない芝居、そして何という奇遇 - 2009.11.18 Wed,11:35
(ちなみに10月には、来日公演があって、ピアノとドラムと指揮者以外(このパートは稽古からつきあった人じゃないと出来ないシステムだから)は昨年の仲間たちが演奏して居たので観に行ったけど、最高にロキシーが可愛く実に楽しかった。)
あの芝居は、実に「悪い人たちしか出てこない実に楽しい芝居」であります。
その証拠に、開演前に一人の役者が出てきて、「皆さんの大好きな、」と枕詞をつけて(爆)、その「悪い人がでてきて、悪さの限りを尽くす」能書きを言うくらいですから(爆)。
それに反して、この十月末からは、来月から年をまたいで来年の一月末まで日比谷のシアタークリエで上演されるSHE LOVES MEは、CHICAGOとは真逆で、「良い人しかでてこない実に楽しい芝居」であります。
この稽古に稽古ピアニストとしても参加しています。
こんなに極端なコントラストのある作品に出会うのも面白い体験です。
本番は、この夏に弾いた、パルコ劇場でのSunday in the Park with Georgeと同様に、7人くらいの小編成のバンドで演奏することになっています。(前回のSHE LOVES MEの上演は指揮者付きの二十数名のオーケストラ)
Sunday~は譜面上も、舞台装置や芝居との絡みも含め、非常な難曲であったこともあり、指揮者の存在が不可欠でありましたが、SHE LOVES MEは、指揮者は存在せず、僕が鍵盤を弾きながらその役割も半分担うことになっています。
昨年日生劇場でやったベガーズ・オペラという公演や、たまたま、このブログの記事には残っていたけど、フィリッパ・ジョルダーノの公演や、ザ・キッチンというミュージカルの公演でも経験したことで、気づいたらけっこうこういうことをする機会が増えてきたということかな。
キャスト、スケジュール、チケット情報などは、公式サイトで参照して頂くとして、この記事のタイトルの最後のフレーズ、「何という奇遇」ことに触れて、実に久しぶり(爆)の記事投稿を終わろうとおもいます。
1997年と、1999年には、やはり東宝ミュージカルの、42nd Streetというタップダンスのブロードウェイミュージカルに、僕は「稽古ピアニスト、オスカー」役で衣装を着て舞台で出演して弾いていました。
そこに、ジュリアン・マーシュという演出家の役で、少年隊の錦織一清氏が出ていて、ジュリアンは、そこかしこで、「オスカー、弾いてくれ!」という台詞を僕に投げかけたものです。
その虚構の舞台で起きていたことが、10年の月日を経てなんと、現実の舞台で実現したのです。
こういう筋書きはたぶん世界的に見てもすごく珍しいことだと思います。
だから、僕の呼び名は普通白石准か、CHICAGOやCandide(おっと、2001と2004の宮本亜門演出版ではずっと稽古ピアノ弾いていたのにこのブログでほとんど記事にしてなかったことに気づいた(爆))に関わったひとからは、じゅに~にょと呼ばれているのですが、今回は、公式名オスカーと呼ばれています。
だから、十年前は台詞で言われていたことが今は現実の稽古で同じ言葉が飛んできます。
ゆえに、たぶんプログラムのスタッフ欄にも稽古ピアニストは、オスカーという名前で記されることになるかもしれません(爆)
このウェブサイト(ブログじゃないページは今ほとんど化石化しつつあるが)を立ち上げたのは、97年の5月でした。
そして初めてオスカーをやったのは、その年の12月。
大挙してこのサイトにいろんな知らない人が押し寄せたこと(ブログはもとより、掲示板もまだ無い時期だから、サイトを見て、メールが毎日来ていた)がありましたし、錦織一清(ニッキ)氏のファンの人が僕の普通のクラシックのコンサートにも訪れてくださったりしたこともあったし、ニッキちゃんは、その時期、ある雑誌で僕のサイト(当時のURLは違ったけど)を紹介してくれたりしました。
だから、もしかしてその当時の公演を観た方たちがこの芝居を観たら、「その後のジュリアンとオスカー」って感じに感慨をもって観てくれるかもしれませんね(爆)
まあ客席はほとんどものすごく若い世代が占めるだろうからそういう方々は少数派でしょうが、、。
第一、僕に習っている最近の人たちも42nd Streetの時の僕を観たことある人自体、皆無だと気づいた(爆)。
10年一昔とはこのことだ。
そして、偶然と言えば、前回このSHE LOVES MEの上演時、ヒロインをやられていたのが、涼風真世さんでした。
そう、くだんの42nd Streetのヒロイン、ペギーを演じていらっしゃいました。
キャストはぐんと、若返っています。
お話をすると、キャストによっては、僕の歳は親やそれ以上だったりするので(爆)、なんとか、最後まで無事に彼らが、喜びを持って公演を打ち上げられるように、臨みたいと思います。
植草克秀さんをはじめとする他のベテランの俳優さんたちもとても味があって稽古場は笑い声が絶えません。
その震源地は、演出家のニッキちゃんなのですが、どうしてこんなに面白いことを思いつくかなという、ミュージカル・コメディの王道を行くアイデアの引き出しの多さに、そうだよ、真面目に取り組むのは当然だけど、もっと笑って良いのにという、こういうジャンルの作品へのアプローチに新しい(あるいは原点の)光が当たることが出来たら良いなと、for the 一座の気分で毎日通っています。
そろそろ知り合いに宣伝しようかと思っていたら、劇場が帝国劇場や日生劇場とは違い、それほど大きくないので、さっき公式サイト見てたらもうあまり残りはなさそうですね。
あうぅ。
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● COMMENT ●
kaoriさん、楽しみにしていてください
劇中のことが10年後にこうやって現実として
再現されるなんて、本当に感慨深いです。
稽古場が楽しそうで、本番も面白くなりそうですね。
私も観に行く予定ですが、
42ndを思い浮かべながら観たいと思います。
また稽古の様子など教えてくださいね。
そう言えば
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それは独りよがりという意味ではなく、「こういう風に観たら面白いでしょ」というメッセージなのです。
そして、役者やスタッフがそれに触発されて応答すると、期待度を超えたとき指示出した当人が一番面白がっているという雰囲気です。
良い指揮者や演出家というのは、台本や譜面から普通に読める事だけを実現するのではなく、余白にその背景を構築する仕事の出来る人です。
稽古の内容については具体的には公開しませんが、本番が近づくのが楽しみになっています。
バンドのアレンジもあがってきました。
どういう譜めくりの手順を踏んで弾くか思案中です(爆)