Westside Story2012来日公演の千穐楽にて - 2012.09.20 Thu,20:23
彼らのツアーも、この大阪公演で本当に最後になるわけで、記念に制作からこんなに素敵な、プログラムと同じデザインのケーキが、二回公演の合間の時にステージ上に置かれていました。


こう見てもケーキは小さくないことが判るでしょう。
白いジャケットに赤いシャツを着たプロデューサーが延べましたが、どうやら、このカンパニーは、二年半にわたり、690回の公演を繰り返してきたそうです。
もちろん、数千回とかの上演の話はよく聞きますからそれと比べてどうのこうのではないです。
二年ちょっとだったらしい、このカンパニーの全部、それもWestside Storyという作品をそれだけ出来るというのは実に大変でしょうし、反面羨ましい限りです。
記念のスピーチの後、皆勤賞の人を表彰しはじめました。


本番前なので凄くラフな格好をしています(爆)

本当にお疲れ様でした。
みんな大喜びで、記念写真を撮っています。
きっと、この日のFacebookやtwitterは、彼らの写真が飛び交ったことでしょう。
あとで、このおこぼれを食べさせて貰いましたが、実に甘くなく美味しかったです。
今回はpianoではなく、Guitarと金管楽器をKeyboardで弾くという初体験の仕事でしたが、今まで知らない音の動きを知る事が出来て、貴重な体験でした。
それと、こういう来日公演や、スタッフや機材がBroadwayの設定でやるという公演などでは良くあることなのですが、Broadwayの最新のtechnologyを知る事が出来て、keyboardistとしては凄く学ぶところが多かったです。
この作品に於いては、pianoを弾く事が当たり前だと思っていたけど、こういう形で関わるのも実にやりがいはありました。

開演前のWestside StoryのPitから客席を - 2012.08.24 Fri,10:15
開演前の不在状態から、ほぼ30分後に客席が一杯になった状態です。
東京公演はほとんど毎日満席でした。

WestsideStory2012初日 - 2012.07.19 Thu,10:29
満員(当日券はなかった)の聴衆もすごく盛り上がってくれました。
写真は、終演後、階下の別のホールでのパーティで、ちょうどキャスト達が現れたときのものです。
なにもトリミングとか加工をしなかったので、よく見ると右と左にちょっとだけ、我々音楽家の仲間の拍手している手が映っているのが妙なのだがまあいいや(爆)
特に左側の手は何をしているんだろう、妙な形になっている、、、(爆)


たしか、前回の公演の時も来ていた様に思いますが、この風貌、体型が1934年生まれの80歳近い人か、と思ったらそっちにびっくりでした。
通訳は、映画の字幕で有名な戸田奈津子さん。
パーティの後半で日本酒の樽を割る鏡開きが行われましたが、それに興奮するアメリカ人関係者。
きっと、昨日の彼らのtwitterやFacebookはこの写真が出ていたことでしょう(爆)

終演後22時から始まったので、会場を出たのは23時をだいぶまわってから。
結局駅に着いたのは0時半くらい。
で、家に着いたのは1時(爆)
今日は初の二回公演なので、そろそろ出ようと思います。
昨日は突然僕は早く呼び出されて、ほぼ全曲、今まで弾いたことの無いピアノスコアを弾かされてあるリハーサルの練習につきあいました。
初見は困っちゃったけど、知らない曲でもないし、ある意味、今回はpianoではなく初めて弾くパートなので、改めて全体を俯瞰するチャンスを得たと思えば、昨日は一回のShowでしたが、実質二回弾いたことになり、かつ、指揮者やその他の人に、「僕はkeyboardistでもあるけど、pianoも弾けるよ」というアピールにもなった(爆)かもしれないので、面白かったです。
妙な書き方ですが、Pianistとして僕を知っている人には想像もできないことですが、Keyboardistとして仕事をすると、Pianoは弾けないと思われたりすることはざらだし、子供のViolinと一緒に弾いている場面しか観たことがない人たちにとっては、僕がMusicalでKeyboardを弾いたり他の楽器の伴奏や独奏をするということは「想像できない」人も多いのです。
だから、その場面場面で、僕がやっていること以外は大体の人は出来ないと思うものなのです。
僕にとって4度目のWestside Storyの幕が明日開きます。 - 2012.07.17 Tue,13:27

期間限定だと思うが、公演のご案内のページは以下です。
http://theatre-orb.com/wss/
僕が、orchestraのconcertで組曲を演奏する事を除いて、純粋に公演に参加することとしては、96年の来日公演を皮切りに2006,2009に続いて今回で4度目です。
すべて来日公演でしか弾いたことがないので、日本人ですべてをやるときはどうやっているのかは知りません。
最初はピアノのパートを全公演で弾きましたが、その後の二度は、システムが変わって通常ピアノは、assistantの指揮者が弾いていて、その人が振る時だけ僕がピアノを弾いていましたから、それぞれの公演では数回しか弾きませんでした。
96年の時は、Oboe BassoonとGuitarとCelestaのパートを確かKeyboardでassistantの人が弾いていましたから、本来Pianoの担当者はCelestaと持ち替えのはずでしたが、僕はPianoだけ弾いていました。(Celestaという楽器について知らない方はこの記事を参照。)
それ以降は、CelestaはPianoの弾くところ(本物のCelestaではなく、Keyboardだったけど)となり、上記の96年当時は割愛されていた楽器も実際の演奏家が居て吹いていました。
今回は、今まで3回来たカンパニーとはどうも違うらしく、Broadwayのヴァージョンらしい。
今までのもBroadwayと全く関係ないはずがないが、どうやら常に世界を行き来するカンパニーらしく、現在もどこかツアーに行っているらしい。
だから、来日の度に会う、いつもの指揮者でもないし、その時ご一緒したSax奏者の日本人もそっちのチームで外国に行ったままらしいです。
ゆえに、初めての外人メンバーと、最近この公演で良くあう日本の演奏家たち(やはりこの作品を知らない若手にはちょっと危険すぎる仕事なのかも知れません。)と昨日は久しぶりにお会いしました。
基本的に、指揮者、そして、今回はKeyboardは三人(生のPianoは今回用意されていません。)、一人は僕が何時も弾く、本来のPianoとCelestaを担当し、(ダんさん@チャールズ皇太子に似てる(爆))もう一人は僕で、主にGuitarとBrassパートを両手に振り分けて設定されたKeyboardを弾き、もう一人のアシスタントの指揮者(スティーブさん)は、主に弦楽器と、Oboe,Bassoonを弾きます。
もちろん、brassのパートやstringsには本物の奏者達は居ます。それをサポートする響きを作るためにKeyboardが居るのです。
だから、僕が弾くGuitarやスティーブさんが弾くダブルリードの楽器以外はそう全面的に出てくるわけじゃない。
あとは、Drumsが向こうの人です。2009年は向こうの人がBassも弾いていましたが、今回は96年と同じ日本の方です。(これが究極にすばらしいんだ、千葉さんというのだけど。)
思い起こせば、Keyboard奏者としての白石准としては、それまで何回かのMusical公演で独学で覚えてやっていた「音色などのセッティングの常識」を根本的に覆された思いがあったのが、96年のこの公演と、その年の秋にやっぱりスタッフのほとんどがBroadwayの人間で行われた「蜘蛛女のキス」でのマニュピレート(Keyboardの音色の設定などです。キーボードの仕事は普通に音符を弾くという仕事ではないのです。)の鮮やかさでした。
それ以降の僕のやり方も根本的に変わったのです。
まあ、昔は弾く事とマニュピレートすることは同一人物がやっていたものですが、最近は、専門のマニュピレーターという人が公演に付くことが日本でも増えたので、自分でやることはほとんどなくなりましたから、楽なのですが、今回のセッティングにも、また驚かされました。
画像を出して良いのかどうかわからないので、一応差し控えますが(こんなことを公開したってたいしたことじゃないとは思うが)、通常はKeyboardの本体や、通常「音源」と言われる「鍵盤の無い箱のシンセサイザー」から音が出ていることが多いのですが、今回は、Keyboardは完全にcomputerのそれと同じで、それからは音を出さず、外部音源として、AppleのMacbookというノートパソコン(に、読み込まれた音のデータ)が使われています。
ソフト音源と呼ばれるものを使うことはそんなに珍しいことではないのですが、何に驚いたかというと、現在使われている音色の名前と、鍵盤上にどの鍵盤に何が使われているかということが視覚的にディスプレイ一杯に判りやすくでていることです。
しかも音色(おんしょく)のナンバーは通常一曲目からの通し番号であることがほとんどでkeyboard本体に記録するならそうするしかないのですが、今回はすべての情報がMacbookで制御しているのでナンバーはその曲の音色を切り替える小節番号になっているのが(特にリハーサルであちこち飛んだり戻ったりする時直感的だよ)素晴らしい。
かつ、ヴォリュームペダルを上下すると、画面左側に、アナログ表記ではあるけど、スライダーが上下します。
ゆえに、どのくらいで弾き始めるか直感的に調整できます。
で、音色を切り替えるときは、スイッチペダルを踏むのですが、その瞬間画面も次のセッティングにかわるし、今どの音を弾いているかということもディスプレイ上の仮想鍵盤の上に光るので、実はセッティングに寄っては、音の出ない音域もあるのだけど、それが「見える」がゆえ、裏技だけど、後打ちといわれる和音を右手で弾いているとき、開いた左手で強拍を「空打ち」してより正確に弾くという芸当もできたりします(爆)
訊いてみたら僕がMIDIを使うときに使用しているAppleのLogicというアプリの最上級ヴァージョンのある機能だそうです。
これをみたら、アップグレードしたくなりました(爆)
以下のことは、通常のMusicalの仕事でも良くあることなのですが、pianoしか弾いたことの無い人には混乱させること必至です。
鍵盤上に数種類の音が設定されているとき、ものによっては、右手の親指でGuitarを弾いている上で小指が音をだすと、1オクターブ下のラッパが鳴っていたり、左手は、Tromboneがなっていたりします(爆)
だから設定が違ってしまうと音が出なかったり、音域が違ったり、一番やばいのはGuitarのはずが金管楽器の音がでてしまうことです。
楽器によってはピアノの様に弾いたらそれらしく聞こえない事も多いのです。
だから、足元には、ヴォリュームを司るペダル、そしてピアノの右のペダルと同じダンパー・ペダル、そして音色を切り替えるスウィッチ・ペダルがありますが、公演中ピアノのように音を伸ばすダンパー・ペダルを使うことはほとんどありません。
あるとするならば、Guitarの音色だけを弾いている時に(Mariaの最後の部分かな。)音が停まって響きを残すときだけです。
多くの場合、両手が違う音色なので、金管楽器にペダルはありえないしね(爆)
だから、一昨日、一日中子供たちのViolinの伴奏をしていた世界とはもう全く違う世界になりました。
その日の感動も書ききれないくらい色々あったのですが、夜と朝、体のきしみが酷く、一日中寝ていたいとは思いましたが、実際にWestsideの懐かしい響きの中に身を置いたら昨日までの事は一切忘れていましたお陰で寝込まなくて済みました。(爆)
人間、感動したことも凹んだことも、それを洗い流して、間髪を入れず次の事に望む気構えを持つには、新たな情報の「上書き」しかないと思いました。
ゆえに、昨日の夜、やっとおとなしく寝ることができました。
orchestraの練習は昨日の一回だけで、今日は舞台稽古で、明日はすぐに本番です。
だから、初めて弾くひとにとってはかなりの重圧でしょうね。(極端に若い人はあまりいなさそうな、ベテランの集まりって感じでしたが。)
実は曲が今まで聴いたことの無い演出を加えられて何時も耳慣れているものではない箇所があちこちにあるので、かえってやり続けてきた人間(僕みたいな)にとっては油断すると飛び出してしまう危険な箇所が冒頭からあります。
どういう面白い事になるか、この作品に関わる名誉と何時もとは違うPartの音を弾く新鮮さを味わいながら、今日は初めて見る劇場の中身を見てきます。
これから一ヶ月はほとんどpianistではなく、Keyboardistになります。
しかし、暑くてもう昨夜の夜と朝と昼過ぎにシャワーを浴びたがまた汗でびしょ濡れだ。
すべては芝居のためにあるわけで、、、 - 2009.07.26 Sun,10:23

22日まで東京でリハーサルをしていたOrchestraは23日に名古屋に移動、舞台稽古、そして初日を迎えたわけだが、自分は、渋谷でSunday in the Park with Georgeを弾いているので、初めて弾くわけではないにせよ、環境に全く未経験で合流する不安を感じながら、早朝に名古屋入りをしてピットに行ってみた。
装置や、手前に映っている字幕操作スタッフのパソコンをみると懐かしくもあり、今回はあらかじめ芝居の流れを見学して臨んだわけではないので、完全なぶっつけ本番のスリル。
しかも全員、指揮者が今日変わることは昨日に通達されたらしく、動揺していた。
いつもこういうとき思うけど、アシスタント・コンダクターもあらかじめ自分の指揮を演奏者の前で見せないでやるわけで、やはりこういう言葉はキザには見えるけど、プロの現場だなと思う。

なにせ、譜面灯が鍵盤に届いてない(爆)
黒鍵はほとんど見えなくて白鍵の先端二センチくらい
しかも、指揮者もほとんど日常の僕らのスタイルからすると闇に溶けている状態。
だから、本番になって気づいたけど、白い服を着て振っているんだとわかった。
以前はこんな暗かったっけ、、、。
きっとピットの深さの問題なのだろうから東京ではまた環境が違うと思いたい。
でも日本で制作されるMusicalだったら、音楽家から絶対にクレームがつくね。
周りを見回しても結構ヴァイオリンの人の譜面の下の方はけっこう闇に溶けている感じだし。
でも、何よりも舞台効果の妨げにならないように配慮されているので、弾きやすさはある意味二の次で、受け入れるしかないな。
レギュラーの指揮者のドナルド・チャン氏(前回の記事では1000回以上と書いたけど2000回以上の間違いだった)のアシスタントのシルヴァンの指揮はとても的確で見やすかった。
前にも書いたかもしれないけど、このカンパニーはそれぞれの楽器の横に他の楽器の音はモニター・スピーカーを通して、返ってないから離れたところにいる楽器の音はほとんど聞こえてない。
棒とそばにいるドラムスとベースが頼り。
しかも、指揮とか役者が入れ替わってもほとんどタイミングややり方に変化がないからこういうぶっつけでも安心して臨めるのだ。
日本で経験しているミュージカルの日常とは本当に違う。
でも、これほど歴史のある作品だからこういうことになるんだろうなとは思う。

日常的に手をあまり見ないで弾くんだけど、やっぱりぶっつけ本番である心理が働くと、はずしたくないから手が移動するとき慎重になって見てしまうととんでもないところに手が行っていることがある。
やっぱり普段通りのやり方で弾くべきだ。
そうだ、Sunday in the Park with Georgeに戻ったときに譜面灯を鍵盤を照らさないようにして弾くことにしよう。
でも自分の音も場合によっては自分の楽器のすぐ左にある台詞や歌を客席に流すためのスピーカーの音量に負けて良く聞こえないから実に不安になる。
こういうのはとにかく慣れるしかないし、照明スタッフ(もちろん日本人の)は僕の気持ちを察してもう一つ手元灯りをつけようとしてくれたのだが、上手く設置する場所が見つからないし、この環境でシルヴァンはいつも弾いているわけで、まあ、彼は何百回も弾いているとはいえ、それで出来ないとだめじゃんとおもい、このままやることにした。
あと残されたチャンスは二回だけ。
でも、プログラムの記載をみてびっくり。
僕のパートが「稽古ピアノ」になっているぞ(爆)
どういうことかよく分かりません。
しかも、ピアノを誰が弾いているか書いてない(爆)
シルヴァンはアシスタント・コンダクターとしか書いてないから普段ピアノを弾いているのに、どうして、ピアノと書かないのかな。
また今日はSunday in the Park with Georgeに復帰。
そうそう、昨日Pitで舞台上の声を聴いていて、今回のキャストはすごく良い気がしました。
歌も上手いし英語の滑舌も良いし、ダンスは見えないから分からないけど、すごくエネルギーを感じます。
やっぱり舞台上で「良い声」が飛び交うのは気持ちいい。
一人でも多く観てもらいたいです。
期限付き移籍@Westside Story2009来日公演 - 2009.07.21 Tue,23:59

たまたま、今上演中で参加している"Sunday in the Park with George"が休演日だったので、誰にも迷惑かけることなく(爆)出かけました。
編曲は、前回2006年でやったヴァージョンとほとんど同じで、役割も、写真に映っているアシスタント・コンダクターのSylvain Bousquet氏が通常弾いているピアノパートを彼が振る7/25の昼公演@名古屋と東京では、7/30と8/5の東京公演を僕が弾きます。
不思議なもので、このメンバー(一部のプレイヤーはブロードウェイからワールドツアーに帯同している人たちで他は日本人)はもともと演奏能力が高いとはいえ、何度もこの作品をやっていることもあるだろう経験値からして、最初ほとんどノンストップでさあっと一度終幕まで通したとき、もうこれでそのまま明日から本番でいいじゃんって感じでした。
(もちろんその後、指揮者による指示でよりすばらしく活き活きしてきたけど)
毎回つきあうたび(僕にとっては1996年と2006だけだけど、それ以外にもたくさん乗っている人たちは居る)に本当にこの作品は古典というか完全にレパートリーになっていて、何十年も前だったら曲によっては何回もやり直さないと合わないことがあったろうに、もうみんな涼しい顔してノリノリで弾く時代なんだなと、最初は弾かないで見学していたのでそんなことを感じていました。
今じゃ子供たちのオーケストラでストラヴィンスキーの春の祭典なんか演奏しちゃう時代だから、あたりまえなんだろうけど、去年のCHICAGOもそうだったけど、初めて来日するアメリカのミュージシャンたちは日本人の技術の高さに驚いてくれるね。
昨日までは、自分がレギュラーのプレイヤーで代役の人がリハーサルの時に不安な面持ちで横で見学していたのですが、今日は逆の立場。
でも、この曲は自分の中でももっとも長くつきあっている作品とも言えるので、二日だけ参加して、間が空いて、その間には別の演奏をして、いざ週末に本番というのは、緊張はするけど、見学の後、交代して貰って弾いてしまうと、なにか「思い出す感覚」というのがあって、稽古場に現れたときと去るときで雲泥の気分の差で安心して(油断するなよ)帰る事ができました。
そういう点では、現在弾いている"Sunday in the Park with George"はとにかく弾いたことのある日本人自体極端に少ない(今回が初演だと思ったらどうやらかつて上演されているらしい)し、音符自体めちゃくちゃ難しいしトリッキーだから、レギュラーで弾いていても慣れるのに最近までかかったから、それの代役をしてくれている野間美希さんというピアニストのプレッシャーは相当なものだと思います。
週末は"ハンナのかばん"を弾いていたわけで、この一ヶ月は三本の芝居と三種類のコンサートを経験できて、恐ろしく脳を活性化させてもらっている気がします。
明日は午後から僕にとっての最後のリハーサル(オーケストラの皆さんは23日に名古屋に入り舞台稽古、24日に初日を迎えます)をして、夜はまたPARCO劇場でソンドハイムのミュージカルを弾きますから、ある意味Westside Storyは作詩がソンドハイムだし、7/30と8/5もソンドハイム・Dayになります。


二人とも頭が白くなっちゃった(爆)
でも彼の棒は本当に大好き。
別の記事でも書いたけど、この作品をもう千数百回振っていて今回ももちろん暗譜で振るんだろうけど、いつ見ても新鮮。
この作品、そしてミュージカルという仕事の世界で出会った僕にとって最高の指揮者。
笑顔のアイコンタクトでみんなにオーラを振りまく指揮者はなかなか多くはないのです。

ラッパの音は最高に元気が良いけど、別れの時が来ると実に涙もろくてすぐ泣いてくれる。

後で紹介するアシスタント・コンダクターのシルヴァン氏と子供のようにはしゃぎながら弾いている。
こんなに長い間同じ作品を弾き続けているのにどうしてこう楽しそうにできるのかな、、。
と考えたら、もちろんツアーで移動のたびに周りのプレイヤーが変わるからその初日だったし、いろいろな感想があったのだろうね。
この楽しく弾くということについては僕にも自信があるので(爆)、Sunday in the Park with Georgeに復帰したときは真似しよう。
そういえば、また話が飛躍するが、Sunday in the Park with Georgeの演出家、宮本亜門氏が、オーケストラに向かって、「オーケストラの皆さんは、今回ピットに入ってお客の目の前では弾かないけれども、とにかく楽しく演奏しているところを最後にビデオカメラで客席に映すから服装も色とりどりにして明るくやってください」と言ったことを思い出したので、昨日の公演から自分にカメラが向いた時にカメラ目線で弾いてみたらスタッフに異常に受けた。

長身で手も指も長いからうらやましいよ。
前回2006年はロイド・パギア氏で、彼ともすごく仲良くなったけど今回もすぐに友達になれた。
対面して彼が弾き出し、いろいろしゃべっている間に、「俺、この曲数百回弾いているけど好きなんだよな」と言いだし、前述の様に僕やジェイソンやドラムの人(名前忘れた)と目配せしながら楽しそうに弾いている(譜面あまり見てないし(爆))余裕がうらやましいが、そりゃいくらかつて弾いたとはいえ、三回しか弾かない俺はそんな余裕こいている場合じゃないから、弾いてない時には「マンボ!」と叫んだり、はしゃいで踊ってたけど、楽器の前に行ったらとにかく任務遂行。
二人のピアノは本当にタイプが違うけど、レヴェルの高いいろいろな人が同じ曲を弾くのを見るのは楽しい。
彼だけ名古屋に今晩から入って明日はきっとピアノを弾きながら(ないしは棒を振りながら)舞台稽古を進行させるのでしょう。
週末の名古屋での再会が楽しみです。
1996は全公演弾いたこともあって、とにかく楽しかったことだけ覚えているし、2006年は正直言うと96年にやったことの自信がある意味邪魔して編曲が違ったことでちょっと面食らっておどおどしていた感想があるけど、今回はこのスケジュールだし練習もほとんど出来ずに臨んだから自信はまるでなかったんだけど、その慎重さが幸いして体の中から思い出すことと前はあわあわしていたところが全部余裕を持って弾くことができることを実感したから楽しい。
きっと明日はもっと楽しく弾ける。
なんか長い間同じ作品につきあうことと、最近ものすごく負荷のかかっているコンディションというのは潜在能力を引き出すことにもなるんだなと思って、疲労していると思ったのに、久しぶりに聴いたこの音楽のすばらしさに、疲労は感じなくなり、その渦の中にいる幸せを感じました。
いろんなパートがそれぞれ大変に難しい作品だけど、今日は見学していて、やっぱりドラムスと別に居るパーカッションの本間麻美さんの乗り換えのものすごさに感心していたら、外人チームも同様に驚いていました。
様々な楽器を一人で全部やっているんだけど、聴いている人は数人でやっていると思うだろうな。

★2006/9/20,21Westside Story松本公演 - 2006.09.23 Sat,06:24
最後に松本に訪れたのは、今世紀になったばかりのころ、佐渡裕率いるシエナ・ウィンドオーケストラでの演奏だったと思う。
そのころにはできてなかった松本市民芸術館という新しいホールだった。
採光もすばらしい広い楽屋で感動しました。
指揮はロイドさんでした。彼は他の公演ではピアノを弾いています。
とても優しくてすばらしい技術の持ち主の彼とはリハーサルの数日と東京公演の僕にとっての初日しか会っていませんでしたがかなり意気投合し、今回はもし時間の余裕があったらと思い、ラヴェル、ドビュッシー、モーツァルトの連弾の譜面を持参していきました。
さすがに松本公演初日はリハーサルが本番の前にたくさんあったのでかないませんでしたが、二日目の午後に時間ほど彼の楽屋で連弾三昧をしました。
楽しかったです。
そうそう、楽屋割りの表示をみていてちょっと日本のカンパニーとちがうなあと思ったことがあります。
日本だったら役者さんの名前が楽屋の前に書かれているでしょうが、このカンパニーでは、「役名」しかかかれていません。
ゆえに、指揮者の部屋はconductorとしかかかれていません。
そうかそういう風に表示すれば役がローテーションでかわっても人が部屋を移動するだけですむわけですな。
ブロードウェイのこれが標準的なやり方かどうかは知りませんが、日本とはものの考え方が違うなあと思いました。
今回は小さい折り畳み自転車を持参したのでホテルからホールへの行き来や早朝のポタリングには便利でした。
変速機も着いていないからスピードはでませんが、なんか自分にはこいつが一番合っているような気もして来ました(爆)
2006/8/23Westside Story来日公演東京公演 - 2006.08.25 Fri,09:11
前回(数年前のミラノヴァージョンではなく前述の10年前のこと)とは演出も音楽の編成も編曲もちょっとちがうので、自分のパートも初めての音符が多い。
前回は、ピアノはピアノだけ弾いていた。
チェレスタやギター、そしてファゴットなどの楽器をアシスタント・コンダクターの人が弾いていたが今回は鍵盤はピアノだけ。そしてギターやファゴットはきちんといる。
チェレスタはキーボードでピアニストが兼ねる。
これは普段オーケストラでよく演奏する組曲版と同じだ。
指揮者もトランペットの一番の人も10年前と同じ。
覚えていてもらってうれしかった。
作品と共演者の水準の高さのおかげでこのジャンルの仕事のなかでももっとも楽しい思い出ばかりのものだった。
指揮者のドナルド・チャン氏はもうすぐ(残念ながら日本公演ではないが)この作品の指揮した回数が2000回になるらしい。
ギネスブックに申請するらしい。
10年前のときも暗譜で振っていて、飲んだときに「いつから譜面を外したのですか」と聴いたら「最初からだよ」と涼しげに言っていた(爆)
ピアノも達人ですばらしい音楽家。まあ世界一のミュージカルの指揮者だと思う。
あと一回東京公演で弾いた後9月の長野の松本公演で弾くことになっている。