青く光る脳

山猫合奏団を主宰し、ピアノ弾きで作曲(“セロ弾きのゴーシュ”や“どんぐりと山猫”や“注文の多い料理店”、そして“ジョディと子鹿のフラッグと”とか)もする、白石准のメインブログ。

CELESTAのペダル

かつて文章で紹介したチェレスタのペダルのことをここで写真入りで紹介しよう。
MUSTELのCELESTA

通常チェレスタ(これはフランス製のMustelという楽器)というのはこの写真のように中央付近にペダルがあるものだ。
一見ピアノと違って踏みにくいと思う人もいるでしょう。

YAMAHAのCELESTA
事実二枚目の写真のヤマハのチェレスタはこのように右側に設計されているから「この楽器だけ」を弾くのには実にピアノを弾いているような感覚で弾ける。

しかしピアノとチェレスタは違うものであり、中にはピアノと始終乗り換えながら弾かなくてはいけないことがある。
乗り換えるだけならいいのだが、左手でピアノ、右手でチェレスタを弾くということもまれにあり、そういった場合両方ペダルを踏む場合ヤマハだとかなりの「大股開き」にならないとできなくなる。

二枚とも近くで撮ったから鍵盤がまっすぐ水平に見えないけどこれはレンズのせいで、もちろん実際に鍵盤が盛り上がっている訳ではない。

現況報告、およびキーボードじゃないとできないこと、でもピアノじゃないがピアノに聴かせること

ジキル環境Musical“ジキル&ハイド”の公演は、今日現在名古屋の中日劇場で明日の初日を前に最終リハーサル中だけど、自分が座るキーボード1廻りはこんな環境です。

舞台上手の裏には、僕と金管の3人(ホルン,トランペット,トランペット)そして、ベース(コントラバスとエレキベース)とドラムスとティンパニーを含む多数の打楽器、そして指揮者の8人が。

舞台下手の裏の方には、弦楽器の4人(ヴァイオリン1&2,ヴィオラ,チェロ)と木管楽器の4人(フルート,オーボー&イングリッシュホルン,クラリネット1,バスクラリネット&サックス)そしてキーボード2と3の2人の計10人がいます。

写真をクリックしてもらうと少し大きくなるのでわかりますが、譜面台がとても特徴的なのが今回の公演。

舞台の裏の基本的に客席から見えないところで弾いている訳だけど、装置の移動によっては裏で弾いているオーケストラが客席からも見えるときがあるので、譜面灯からの光が不必要に漏れないように譜面台が細工をされて上部や左右が帽子のつばのように覆われているのです。

ゆえに、このサイズだと、横長に楽譜を製本できないから譜めくりは熟練を要しています(爆)

大阪公演での自分の位置は、指揮者の目の前、ほぼ客席側を向いていたが、名古屋の劇場ではスペースがあまりなく、上手側舞台袖を向いて客席からすると横を向いて弾いているから、より光が漏れやすいということで、自分の譜面台だけ、右側にはこの公演からより大きな目隠しがオプションで付け加えられた。

キーボードの左横に斜めになっているスピーカーが自分の音専用のモニター。
右側の高い位置に少し見えている小さなスピーカーが他の楽器と歌や台詞を聴くもの。

指揮者は僕の譜面台の先に立っている。

音色の切り替えは、マニピュレイターの人(音色を設定する専門の人)にあらかじめ、曲で使われる音色が順番に並べられてプリセットされていて、基本的にそれ専用のペダルのスイッチで一度踏めば次の音に切り替わる。

ダンパーペダル(音を延ばす)を右足で踏んでいる時に切り替えなくては行けない時などは指によってボタンで切り替えるときもある。

だから譜面をみてピアノ練習して、音符を拾うことと、ストーリーを理解し、指揮者を観て音楽的なテンポや仕掛けを理解すること、そして廻りの共演者(まったく視界に入ってない人たちがほとんどではあるが)たちの音を同時に把握することに加えて、「いつどんなタイミングで音色を切り替えるか」ということが重要な作業になる。

必ずしも、切り替え時に数小節の「休み」があるとは限らず、休みが一拍しかなかったり、それさえもないときがあったりするから、その操作は機械への理解と熟練が必要なのです。

しかもこれは今回の音源の特徴で、音が鳴っているあいだに、プログラムチェンジをすると、音がぶつっと切れてしまうので、長い音の後わずかなタイミングで次の音に変える時は実に神経をつかうのだ。
僕が自分でよく使うRoland社の音源は前の音が鳴っていても次の音に切り替えてもその次の音の打鍵からチェンジするし、前の音のキーを鳴らしっぱなしにするとそれも生きていたりするからそれだったらもっと楽なんだけどな。 

装備の中には一応ヴォリュームペダルもあるけれども、自分はほとんど鍵盤やハープの音色なので、基本的にはそれを頻繁に操作することはない。
強弱は鍵盤でつけるべき音色だからね。

それはたぶん、キーボードの2や3の人たちが主に担当しているストリングスやアコーディオン、そして僕も数回だけど弾くことになるいわゆる他の楽器の「代わり」ではなく、キーボードの面目躍如たる、いわゆる電子音を演奏するときには必要なアイテム。

ただ、クレッシェンドやディミニュエンドといった表情の増減で使うことののみならず、自分が使うときは、突然カットオフしないといけないときがあり、鍵盤から手を離しても残響が残る音色のセッティングがあり、そういうときは、ヴォリュームペダルで一気に音を止める必要がある。

オルガンやエレクトーン出身の人は習慣から、ヴォリュームペダルは右足で踏む(ゆえにダンパーペダルは左足)人が多いが、自分はピアノ弾きなので、左足でそれを踏んで、右足はダンパーペダルとプログラムチェンジのスイッチペダルという守備位置にペダルを床に配置している。

ピアノの音色も一種類ではなく、その場面で要求される表情の必要性から何種類も用意されていて、その特性を考える必要がある。

そして単に「生のピアノを置くスペースがないから電子楽器で弾いている」というのではなく、キーボードならではのセッティングがある。

その一つが複数の音がレイヤーされて重なってでているような音だ。

ハープとピアノとか、ハープシコードと電子ピアノとか、それらがいつも同時に鳴る訳ではなく、ベロシティ・スウィッチといって、ある程度強く弾いたりするときにのみ、その音色が顔を出すものがあったり、そういうときは考えて打鍵の強さをかえる必要がある。

あとこういう楽器の得意技にスプリットという機能がある。

それはもっともシンプルに使う場合は、この日の演奏でもやったけど、文字通り鍵盤の音域によって違う音色がセッティングされているパッチをつくって、右手はピアノ左手はベースにして弾くというような使い方だ。

しかし今回はそういう用途のみではない。

自分でこの手の仕事でキーボードをマニピュレートするときにも良くやるやり方だが、瞬時に音色を変えなければいけないときに、スウィッチペダルや操作板のボタンを押す時間がない時、その辺のフレーズのひとくだりで、使っていない、たとえば極端に高いとか、低い音域に別の音色をアサインしておけば、弾く音域を移動すればスイッチの切り替えなしに別の音色に切り替わる訳だ。

だから、ピアノを弾く感覚、つまり「書いてある譜面の音の高さ」と「実際に鳴っている音の高さ」はこういう楽器を弾く場合まったく一致してないときがある。

今回は、二幕の最後の方で、ピアノの音と、ハープシコードの音が中断なしに、めまぐるしく変わる時に、実際に鍵盤上では、右手は二小節ごとに、2オクターブ跳躍して移動を繰り返していて音色は変わっても、聞こえる「音域」は常に同じ音域のモティーフが鳴っているのです。

まだまだこういう楽器には生の楽器にはできない設定ができます。

これはピアノと同じ鍵盤に見えているけど、本当の顔はコンピュータのキーボードと同じなのであるからして、今回はそういうことをしてないけど、ドレミファソの順番に音がならないようにすることも簡単にできるし、それを使って、生のピアノでは絶対にありえないように実にある種のモティーフを簡単に弾くように設定することもできる訳だ。

たとえば、同じ音の速い反復というのは鍵盤楽器のもっとも苦手なことだけど、それを隣あわさった鍵盤に同じ高さの音を設定しておけば、トリルみたいにして弾けるし、ものすごく跳躍する複雑な音の並びがもし数種類なら、それを隣同士の鍵盤にならべちゃえばそのまま連続して弾けば誰でもヴィルトーゾになれる(爆)し、重音の連続だって、一つの鍵盤にオクターブだろうが和音だろうがまとめて鳴らせるから同様に簡単に指一本で鮮やかに弾くことは可能です(爆)

もう一つ、実際これは、かつてそういう設定をされていた時(ちなみに2002年にマシュー・ボーンの振り付けによる“ザ・カーマン”で使われていたキーボードの設定)に驚愕して納得したことがある。

普通は鍵盤を「下に降ろす」から音が出る訳でしょう?

それとは逆に、鍵盤を底まで降ろした状態から手を離して「上に戻る時」に発音するように設定することだってできる訳ですよ(爆)

なんでそんなことが必要だったかというと、前述のように鍵盤楽器は、弦楽器のように弓を引っ張る動作、通常「下げ弓」とか「ダウンボウ」とかいうのと、押しあげる動作、通常「上げ弓」とか「アップボウ」とかいうの往復で、同じ音における細かいトレモロを演奏できる訳ですが、通常の鍵盤楽器ではそれを再現しようとしても、打鍵というのは、弦楽器で言う「下げ弓」しかできないわけだから、それをいくら訓練して指を変えて連打しても単音ならそこそこ名人芸でできたとしても、和音なら同じ指が打鍵するわけでおのずと限界があるわけです。

だから器楽の協奏曲やオペラアリアなどの、本来数十人のオーケストラで演奏される伴奏を二本しかない手で(爆)ピアノでするときに、弦楽器のトレモロを再現する時は、ピアノならではの「ばらけたトレモロ」で「それらしく聞こえる」ように弾くのが普通のやり方です。

それで、コンピュータである電子キーボードに於いては、前述のように鍵盤を下に押した時と離した時におのおの発音させてしまえば、まさに弦楽器の、弓を一往復したときと同じことができる訳です。

その設定がされていたときは、ストリングスのアタックの強い音だったけど、それでまさに「本当のトレモロ」が実に楽に演奏できた時に、肉体的な演奏技術よいうより、通常、鉛筆で書くのではなく、コンピュータの能力のおかげでなしえている様々なこと(表計算や譜面、CGなど)と同様、実に「使える道具だな」と、ピアノを演奏することとは違う喜びを感じるものなのです。

でもね、結局様々な音色へ「個別」のデッサン力がないと、その楽器らしく聞こえないものなのではあります。

だから、生のピアノだって、様々な楽器になりかわって弾くイマジネーションが常に必要だとは思うけど、実際にピアノの音じゃない音を鳴らしている時の電子楽器は、ピアノを弾くように弾いては全くおかしなことになることもあるし、指の訓練をしていれば弾けるようになると素人は考えがちだけどそういうわけではないことは両方とも同じということですね。

それと、この演奏会の時に評価されたことと同じことを今回も言ってくれた共演者がいたので、実に光栄に思ったのだけど、一般的には生の楽器ほど個性的な音色の違いは識別されないように思われるけど、そうでもないところには、やっぱり「演奏すること」への意識は、常にピアノと同じように持っていないとだめなので、どんなにマニピュレイターによってすばらしい設定がしてあっても、プレイヤーが仕事、つまり演奏をするのはコンピュータの機能によっかかるだけでできるということではありませんね。

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★2006/12/22,23紀尾井シンフォニエッタ演奏会

シュレーカー鍵盤たちこの日はこのオーケストラに初めて参加した。
演奏したのはシュレーカーという前世紀の前半に活躍したウィーンの作曲家で作風はマーラーとアルバン・ベルクの初期とツェムリンスキーに似ている感じの実にロマンティックな爛熟してエロティックな音楽だった。

このオーケストラはとても編成の小さな団体ではあるがとてもホールとそれぞれの個々のポテンシャルの高さからして素晴らしい響きでした。
指揮はチェロのハインリッフ・シフ氏。
ご自分でもハイドンの協奏曲の二番(ニ長調)を弾きながら率い、後半では一管編成のベートーヴェンの四番の交響曲も振りました。

僕は写真にある一番手前のチェレスタ。
その隣は本当はハルモニウムというオルガンの親戚でなければいけないが現在日本にはほとんどその存在がないゆえにオルガンがおいてある。
オルガンは鈴木隆太氏。

そしてその奧は小坂圭太氏が担当したぴあの。

彼とは2006年最初の演奏会を連弾でやり、最後の演奏会をこの作品でやったことになる。

もちろん三人とも団員ではなく、初日の練習では弦楽器の後ろの方の人たちが振り返り「あら、今回は鍵盤が三人とも男の人だわ」と言われてしまった。
そうかそれほど珍しい「絵」だったのだ。

しかもなかなかむさ苦しいおじさん三人(爆)

オーケストレイションもなかなか個性的で同じフレーズが再現されるときには以前と違う楽器になっていることが多く、興味深かった。

あとオルガン(本当はハルモニウムだが)の使い方も、長い音符で響きを作ると言うよりたとえば、オーボエがダンスを始めたらそれに呼応して同じようにとても細かいパッセージで追いかける、しかも他の楽器が全く重なっていない、という珍しい使い方だったように思います。

チェレスタは調味料的な使い方は全般的にはされていたけど冒頭のテーマが最後の方で再現されるときだけまったくソロで弾いた他はそれほど目立つものではなかった。

折角隣のオルガンの「裏側」でビブラートのような効果を出すための「羽」が廻っている動画をリハーサル中に携帯電話で撮ったのでここに表示させてみます
残念ながら古いOSのマシンでブラウズされている方は動画を再現出来ません。
Macの場合OS9以前の方達はあきらめて下さい。

jeu de timbresは鉄琴じゃなかった

ラヴェルのダフニスとクロエの演奏会の本番直前になにげなしに楽器の中身を透かしてみたら(網戸みたいなものに覆われているから少し見える)、チェレスタとは似ても似つかぬ構造でした(爆)

チェレスタの構造はこの記事に紹介してあるので参照して欲しいが、今回チェレスタに並んで演奏されたジュ・ドゥ・タンブルは外見はチェレスタにそっくりで、違いはその音域が少ないだけで、叩くハンマーの形状が違うだけだと思っていたけど、良くみたら(写真を取り損ねた)鉄琴のような「板」ではなく、縦に立った小さいパイプ状の金属を、しかも下から(つまりチェレスタとは逆、チェレスタは上から打っていたね。ということは方向的にはピアノと同じ)打っている。

想像通り打つ素材そのものは金属だったけど。

プロのオーケストラであってもこの楽器を所有しているところは少ないはず。
今回演奏した新日本フィルハーモニーもほかの団体から借りていた。

メーカーだって製造したところで使う曲はチェレスタでさえそう多くないのにこれだと、たぶん有名どころでは数えられるしかないだろう。

話題からそれるけど、珍しい楽器でいえば、このダフニスとクロエでは、ウィンド・マシンというものが駆使される。
リヒャルト・シュトラウスのアルペン交響曲でも使われるその楽器はまるでラジオドラマの効果音の道具を持ち出したような、「打楽器」というには無理のあるどのジャンルにも属さないものでしょう。
そういう意味でもこの曲はCDで聴くよりは実際に聴いた方が面白いと思いました。

何回もこのオーケストラで弾きましたが、その度にフルートの独奏をする白尾さんという首席奏者は本当にすばらしい。
毎回聴いているとぞくぞくします。

Toypiano

http://blog.goo.ne.jp/mompou/e/174eb8d148bace53ad2853d3e4fbf257
に投稿した楽器についてこっちのブログで説明します。
toypianoこの楽器は、意外なほど大きな音がします。
JAYMARというメーカーはヤフーのオークションでもたまにみかけるのですが、玩具のピアノのメーカーの様ですね。

これは、1989年くらいだったか、アメリカの西海岸のサンタバーバラという場所(いまやマイケル・ジャクソンの裁判で有名になったな)で開かれていた、トランペットの音楽祭に演奏しに行ったときに、休日にうろついたときにダウンタウンの古道具屋で見つけたものです。
色も良いし、いまじゃ、自分の家のピアノの色にもあうし(爆)、気に入っています。
たしか57ドルで買ったように記憶しています。

これをアメリカから持って帰るのに一苦労しました。

飛行機に乗るときに、「ケースに入ってない」という理由で搭乗を認めてもらえず、「俺は飯なんか食わなくても良いから膝に載せて帰る」とかなんとかけんかになった。
空港の業務が始まる前に着いたのに、あやうく乗り遅れそうになるくらいもめたのです。

結局同行した人の機転で「風呂敷に包む」戦法でさっと通り抜け(意味不明)足下に置いて無事帰国。
もちろん飯も食えました(爆)

音域があと一オクターブあれば、しゃれで小さい曲をコンサートで弾いてみせることもできるけど、これじゃなあ。

不思議なことに、買ってきた直後は、白鍵で音階を弾くとハ長調を期待しているのに、ト長調の音階が流れていました。

ふーんこういうもんなんだ、と思っていたある日、誤って楽器を倒し、鍵盤が全部はずれて床に産卵しました、じゃない、散乱しました。

ピアノが産卵したらすごい(爆)

そして組み上げて弾いてみたら、なんと、ハ長調がハ長調になっているのです。

?????

と思い、鍵盤を見つめてみて分かりました。

きっと、僕が買う前も同じ事が起きたのでしょう。
そのとき、鍵盤をはめ込むときに、白鍵の位置がずれていたのです。

もっとわかりやすく言えば、黒鍵は、写真では、左から2個、3個という順番で並んでいますが、それが、3個、2個の順番ではまっていたのです。

ゆえに、音程で言うと5度移調しちゃったのです(爆)

いまでは僕より猫が演奏していることが多いです(爆)


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KurzweilのPianoの音色は好き

kurzweil今日は、電子楽器やオーディオ製品に興味のないひとには今ひとつぴんと来てなさそうな、でも僕の同業者やオーディオファンの知り合いの中にはものすごく影響を受ける人がいて、この間も仕事場で憤慨しているミュージシャンの熱弁にこの僕が黙って耳を傾けていた、「坂本龍一氏ら呼びかけ、PSE法反対7万5千人が署名 」というニュースにちょっと関連して、電子ピアノについてちょっと触れてみる。

ちなみにこの75000人の署名の内のひとりは僕だ(^_^)v

自分は電子楽器を主に活動の中心に据えてはいないが時にはそういう仕事が続くこともあり、仕事先が用意してくれるものを弾くときもあれば、自分の楽器を持参することもある。

シンセサイザーは仕事でもお世話になることが多いRoland社製のものを使っているが、ピアノの音色に関しては、96年に上演されて関わったミュージカル“蜘蛛女のキス”で弾いていたKurzweil社(カーツウェルと読むのが普通、クルツヴァイルとドイツ風に読めるけどね)のPC88というモデルに惚れ込み当時買ったものがまだ家にある。

写真はその公演で知り合った、元宝塚のトップスター大浦みずきさんとのライブ“クー・ドゥ・フードル”(たしか1999年の4月に行われたシリーズとしての初回)のときにKurzweilのキーボードを弾いているときのもの。

もうこの楽器も昔の楽器だから現行モデルではないが、マスター・キーボードとしての性能はもとより、ピアノの音が好きなのです。
このメーカーも確か今は韓国のメーカーに吸収されて名前が変わっていた様な気もする。

准の踊り?ちなみにあり得ないことですが、この日の本番でダンスの専門家の彼女とやはりタップもすごい平沢智さんに混じって芝居をさせられたりアンコールでは踊らされたりしました。(爆)


写真はまだ踊る前で紹介されているところだから良かった(爆)

チェレスタの音域について、そしてメーカーごとの長所、問題点

このブログには詳細なアクセス解析があって検索エンジン経由で訪れた人の動向が分かったりして面白い。

どんな検索ワードでここにたどり着いたかが分かるのだ。

前にも書いたけど結構多いのが「脚線美」というキーワードで、僕も女性の脚はとても好きなのだけど、たぶんhttp://juninho.blog16.fc2.com/blog-entry-36.htmlにヒットし舌打ちをしているひとも多いのだろう。(すみません)

その他に結構チェレスタというキーワードが多いのに気づく。
オーケストラで実際に弾くことのある鍵盤奏者以外には馴染みのない楽器であることは間違いない。

チェレスタというキーワードに「音域」というものが伴っているものもけっこう見かけたので、今日の投稿は鍵盤の写真を出してそういう検索をしている人たちのお役に立てればと思う。
mustel音域このブログでも何回かチェレスタを話題にしたが、この鍵盤の写真の会社フランスのMustel(ミュステル)の楽器が僕は一番お好みです。

何とも言えない可愛い音がします。

僕が一番良く声をかけてもらう新日本フィルハーモニーで弾くときはこの楽器を使うことが多い。
東京にある老舗のオーケストラで行ったことのあるところはほとんどこの会社のものがつかわれていました。
この楽器は見たとおり、4オクターブの音域を持っています。

一番下の「ド」の鍵盤がピアノでいうところの中央の「ド」の音と同じピッチだけど、譜面に書いてあるその音域より1オクターヴ高く鳴ることを前提としているので、一番低いドの音の1オクターブ上のところがピアノの中央の「ド」として弾きます。

チェレスタを検索エンジンで探せば必ずでてくる歴史上最初にこの楽器が使われた曲、チャイコフスキーの「胡桃割り人形」の中の「金平糖の踊り」はまさにこの楽器のための「協奏曲」と言って良いもので、この音域でその曲やホルストの惑星やまあだいたいのオーケストラのチェレスタを含む名曲は弾けます。

Mustelただしマーラーのシンフォニーの中にはチェレスタの音域が5オクターブないと弾けないものもあったりします。

そういうときは、「下の音域」に拡がった楽器が必要です。
このミュステル社製の中には右の写真(つっつくとこれは画像が大きくなります)のように下側の音域が広い物も弾いたことがあるけど、これに出会うことは珍しいです。

schiedmayerミュステルのチェレスタ製造は今はされてない故、新しい楽器を買うには、ドイツのシュトゥットゥガルトのSchiedmayer(シードマイヤー)社製のものか、我が国のYAMAHA社製のものしか今の日本では選択肢がないと思われます。

左の写真はシードマイヤー社製の物で、これは僕があちこちで出会った限り5オクターブが標準な気がします。

ゆえに、僕はミュステルでは音域が足りないときはこれを使います。

ミュステルとは全然傾向の違う質実剛健な音がします。
音域が、昔学校によくあった足踏みオルガンと同じなので、バッハのインヴェンションなどはこれでほとんど弾けます。

ある日リハーサルが速く終わったのでサントリーの大ホールでインヴェンションとシンフォニアを全曲弾いて遊んでいましたが、古楽器やピアノのどちらにもない不思議な気持ちよさがありました(爆)

チェンバロで弾くことを想定したパルティータなどと違い、インヴェンションはクラヴィコードを想定して書いてあるので、この音域で弾けるのです。(シンフォニアの6番はたしか一個下のシまで下がるから無理だったけど)
スカルラッティなどはこの音域では足りません。
あ、チェレスタからチェンバロに話がそれてしまった。もとに戻そう。

ゆえにシードマイヤーで弾くと譜面上は、ヘ音記号の下のぶら下がっているドまで弾けます。
実音はヴィオラの最低音のドと同じ。

新日本フィルハーモニーもミュステルとシードマイヤーの二つをそろえているし最近たまにお世話になる京都市交響楽団も同様です。
この写真の時はたしかショスタコーヴィチの交響曲の11番の演奏で使いました。別にこの曲の音域はミュステルでもよかったのですが、指揮者の指定でした。

一回どこだったか、これより広い音域のシードマイヤー社製のものを見かけた記憶があるけど一般的に見かけるものではないはずです。

チェレスタのメカニズムに関しては、別の記事に写真を掲示してあるので、ご覧下さい。

外国に行けばそれ以外のメーカーのものもあるかもしれないけど、そういうものには僕は出会ったことは無いです。

OEKのチェレスタ2右の写真にあるYAMAHA社製はまだ歴史が浅いですが、たしか試作品ができたばかりのころ、オーケストラの鍵盤を弾いているピアニストが集められ、試弾会をしたときに触っていろいろびっくりしたものです。
ということはまだ発売されてからこの時点でまだ20年も経ってないはずです。

まず、メカニズムがいままでのチェレスタとは根本的に違って、ピアノのアクションがそのまま搭載されているのでタッチは「ピアノと同じように」弾けるということです。

チェレスタのメカニズムの写真はシンプルな物なので、ピアノのように弾くとハンマーが鉄琴にくっついたまま戻ってこないことがあるけど、ヤマハはそういうことはないです。

逆に言うとチェレスタとピアノは弾き方が全然ちがうはずのものだけど、ヤマハを先に弾いてシードマイヤーやミュステルに後で出会う鍵盤奏者は面食らうかも知れません。

それと、写真では見えないことで証明されるけど(爆)、ミュステルやシードマイヤーの楽器ではダンパーペダルが楽器の中央にありますが、このヤマハは右足の位置を考えてちょっと右寄りにオフセットしてあるので、ペダルを踏むのに足を置く位置がピアノに座るのと同様に自然に置けるのが特徴です。

この楽器と出会うのは、比較的創立から新しいオーケストラや、普段楽器を所有してなくてレンタルされたチェレスタで弾くことが多い、アマチュアのオーケストラ、そして寄せ集めのプロのオーケストラなどです。

写真の物はオーケストラ・アンサンブル金沢のものですが、写真をつっついて大きくしても詳細に見えないけどたぶん5オクターヴよりもちょっと広いかもしれませんね。

良く弾くのになんで音域を覚えてないかって?
そりゃ仕事しているとき改めて鍵盤の数なんか確かめてないもん。

楽譜に書いてある音をつかめないときに初めて鍵盤の数について注意が向くでしょう(爆)

しかしこの楽器の難点は、チェレスタのくせに「音がでかすぎる」(爆)ことなのです。

こういう言い方は妙ですが、「効率よく音が鳴りすぎる」ので、ミュステルで味わう「そこはかとない質量の軽い音」というよりは、実に芯のあるはっきりして(場合によってははっきりしすぎな)ずっしりした音がします。

普段チェレスタは単独で鳴ることもあるけど、ハープやピッコロ、ヴァイオリンのソロといった楽器と混ざり合って、鳴らす、つまり、音色の「部品とか要素」の一つなのに、異常に自己主張が強いので、この楽器で「そういう役割を要求されたパート」を弾くときには細心の注意が必要だったりします。

その代わり、音の強弱の幅はたしかにピアノのアクションを使っているだけにものすごくあります。

キャスターはついているけど楽器自体は縦にも高いし、すごく重そうでステージマネージャーの方々にはどうなんだろう、トラックに積み込むとき大変かも知れません。

たしか音域に関しては二種類あったようにカタログでみました。
でも狭い方もミュステルほどは狭くない。

映画「ハリー・ポッター」の有名な「ヘドヴィックのテーマ」から始まる組曲は最近オーケストラの映画音楽のコンサートでもとりあげられますが、この「ヘドヴィックのテーマ」の部分はあきらかに「チェレスタ協奏曲」の趣があって、たいへん細かく速いパッセージがあって、こういう「完全に独奏状態で金平糖の踊りより強烈な音楽」を弾くにはタッチのレスポンスや音量のでかさを考えたら最適に思います。

たしか2002年のサッカーの日韓ワールドカップの折りに特別編成された、スーパー・ワールド・オーケストラに乗ったとき、その曲があって、この楽器のおかげで結構派手に弾けた記憶があります。
OEKのチェレスタ1ただし、単体で弾くときは長所になる、ヤマハのペダルの位置が、左の写真にある様にピアノと同時に弾かねばならぬ時、(曲目はバーンスタインの“ウェストサイドストーリー組曲”だった)中心より右側にペダルが生えている故に、異常に足を拡げなくてはピアノとチェレスタの両方のペダルを踏めないので、タイトなドレスを履いている女性はきついだろうし、リハーサルにミニスカートで来たらさぞかしやばそうだ(爆)
僕の脚が拡がってないようにみえるのは単に体が硬くてこれでも限界に近いくらい辛かった(爆)

これで、なぜミュステルやシードマイヤーの楽器のペダルが真ん中についているか分かりました。

オーケストラの鍵盤を弾くときは時々両方を乗り換えて弾くことも多いし場合によってはこのように両方同時に弾くことがあるからなのだね。ヤマハはそれを想定してなかったのだと思います。

あとね、ピアノの様な、通常暗譜で弾く独奏楽器ではなく、普段はオーケストラで弾く訳で、「譜面を見ながら、しかも指揮者を観ながら弾く」楽器としては、シードマイヤーのチェレスタに致命的な欠点があります。
メーカーの人に会うことができたらこれはすぐにでも改良出来ることなので、要求したい点です。

写真で確認出来ますが譜面を置く位置が、鍵盤と同じ高さなのです。

ゆえに、譜面の上側を弾いているときは、あまり不都合を感じないけど、譜面の下側に来ると視点がすごく下がって、指揮者を視界のなかにとらえることが難しくなります。

その点、ミュステルも写真にあるとおり蓋の裏によく縦型ピアノにあるような譜面置きがあるのでそこそこ譜面自体の高さが確保出来るし、ヤマハのチェレスタの譜面台の高さを写真でみてもらえればわかるとおり、高い位置にあるのでシードマイヤーで弾いているときの欲求不満はないです。

あとこの楽器の値段はヤマハでもシードマイヤーでも普通のピアノより遙かに高価です。
だって需要がないからしょうがないね(爆)

個人で持つ物でもないし、他の楽器なしで独奏する(ネットで探すと最近はいらっしゃるらしいけど)ことはまずないし。

あと親戚みたいな楽器で、ジュ・ド・タンブル(jeu de timbres)というチェレスタと外見は同じで、もともとグロッケン・シュピールといういわゆる鉄琴の音を鍵盤で弾くものも、自分の仕事では、ラヴェルの「ダフニスとクロエ」で弾くことが多いので(その曲は、チェレスタとジュ・ド・タンブルが両方使用され重なるから二人の鍵盤奏者が必要)もっとチェレスタより目にすることが少ないのでそのうちまた仕事で弾くときには紹介しよう。

ピアノの椅子

ホンブルクチェアピアノは座って弾く物だから椅子が素敵だと気分が良くなります。
というより、悪い椅子に座っているとたとえ高価な物でも頭来ます。
一番嫌なのは、体重移動をしてきしむ椅子です。
けっこうホールでもサロンでも、そういう状態の物は良く出会います。

この椅子はなかなか見かけない形ですが、上げ下げの手間も座り心地も生涯出会った椅子の中でも出色だと思いましたし構造上あまりきしまないような気がしました。

似たような構造の物はベーゼンドルファー製のものがありましたが、座り心地はこれには全く叶いません。

これに匹敵する物は、かつて福岡のホールで弾いたときに出会った椅子が前に向かって少々斜めになっている素敵な椅子をおいてほかにないとおもいました。

聴くところに寄ると12万円するそうなので、なかなか気軽に買えるものではありませんが、欲しいです。
ホンブルクというメーカーとか聞いたなあ。
ネットでも調べられなかったけど、ユーロピアノが売っているようです。

これ自体は恵比寿の日仏会館のホールにあったものです。
そこのベヒシュタイン・ピアノの状態は僕が弾いた2003年の5月の時点では感心しなかったけど、椅子に感動した(爆)

おもちゃのピアノとテレビに出た

jun_at_toypiano時期ははっきり覚えてないけど1998年頃だったか、テレビ朝日の「題名のない音楽会」の隠し芸大会というテーマの収録の時にこの楽器でチャイコフスキーのピアノ協奏曲の一番の冒頭のカデンツの終わりくらいまで弾きました。(爆)

プロデューサーから電話で誘われたとき、「どこが隠し芸なんだ」と抗議したけど、この日の収録のネタが少なかったらしいので、強引に引っ張り出されました(爆)。

当時は僕がたびたび出演させてもらった、司会が黛敏郎さんの頃のシリーズではなく、その後のもので、司会は武田鉄矢さんだった頃です。

このトイピアノは友人から借りたものなんだけど、珍しくグランドピアノ型ではなく、縦型、いわゆるアップライト型で、しかも鍵盤上の蓋がついているものでした。

その蓋が問題で、チャイコフスキーの冒頭の雄大な和音を弾くたびに振動で手の上に落ちてくるので、その度に蓋を元に戻すアクションが共演者や客席の笑いを誘ってました。

そういえば、どうせなら恰好までふざけようと、モーツァルトみたいな鬘を借りて、燕尾服で金色の大きな座布団に座って弾いた記憶があります。

自分の持ち物にもアメリカで買った縦型のものがあるのですが、それには蓋がついてないし、音域があまりに少なくこのネタには無理だったので借りました。
ということはそこそこ音域があったのです。

この縦型の玩具ピアノはオーケストラをバックに実に音も良く鳴ってくれました。

この写真は収録後、渋谷公会堂の楽屋で東京交響楽団のメンバーとふざけているときのものだけど、周りの人たちはみんなこれを欲しがったものです。

この時を遡ること10年くらい前に、この持ち主(ソプラノ歌手だった)とフルート奏者でコンサートをやったとき、なんかバロックより前の、実にシンプルな曲を演奏するときこのピアノで伴奏したときがありました。(爆)
もちろんジョークではあったけど、なんとも言えない可愛い雰囲気があって、評判は良かったです。

この楽器は国産のおもちゃだったけど、すごく良くできているなと感心しました。


チェレスタ再び

celesta2今日は京都で京都市交響楽団の演奏会でチェレスタを弾いた。

たまたま調整を昨日お願いしたので、友人でもある森田ピアノの森田歩氏が仕事をしているところを撮らせてもらった。

普通はなかなか中身を見ることもできないので、良い機会だから公開しよう。


動画ではないのでわかりにくいが、ピアノとは違って、必ずしも鍵盤の並び順にハンマーは並んでいない。

celesta4どういうことかというと、二つの隣り合わせの鍵盤を押すと、ハンマーもその隣が動くわけではない。

鉄琴を並べているので、ピアノに於ける弦の幅とは違いスペースが必要だ。
ゆえにピアノのように、鍵盤の延長線上に弦が並ぶ(ピアノも厳密に言うとそうではなかったりするが)ようにはいかず、上下に鉄琴が格納されている。

ゆえにある鍵盤を弾くと上のハンマーが動いたりその隣を弾くと今度は下のハンマーが動いたり、あちこちに飛ぶので弾きながら耳を澄ますと、実に位相が変化しステレオで右から左から立体的に聞こえる楽器なのだ。

もちろん客席で聴く分にはそんな位相は分からないけど(爆)

あと、見れば分かるとおりピアノのように、鍵盤からハンマーまでの構造が複雑ではなく、必要以上の強さで弾いたまま鍵盤を押さえていると、ハンマーが鉄琴にくっついてしまうから、ピアノの弾き方をそのまましてしまうと駄目だ。

(ヤマハのそれはピアノと同じアクションにしているからそれが「チェレスタ」だと思っている人は多分この元々のチェレスタという楽器には相当不満に思うだろう)


今日使った楽器はドイツのシュトゥットガルトのシードマイヤー社製のもの。

ceなかなか湿気に敏感らしくハンマーと鉄琴の接近(の距離)が僕が京都に来る数日前に調整して頂いたものと実際に自分が弾いたときと違ったらしく、秋の空の様な女性風な(意味不明)楽器でした。

ayumu_at_celesta奮闘中の森田歩氏。
小さい写真はクリックすると大きくなります。

デジタルなキーボードとのつきあい

危険な関係1970年代最後の学生の頃、身近になったアナログシンセサイザーを買って、劇の音楽を作曲したことがあった。

もちろんシーケンサーといったって今のようにデジタルピアノに内蔵されている簡易なそれはレコーダーという風に思っている人も多いけど、当時は十数個の音を「反復」する機械という意味合いしかなく、音色もエディットしても翌日はそのつまみの具合とかの違いで同じ音色を再現すること自体大変だった。

劇音楽にするためには、4チャンネルのオープンデッキに多重録音した(若い人には何のことかわからんだろうなあ)ものだし、音源自体、二つ以上の音を同時に出すことは不可能だった。(爆)
だから和音にするには少なくとも二回は重ねないとできなかった。

その劇音楽はなかなか評判も良くそれなりに勉強になったしそういう作業は刺激になったけど、作業の生理がピアノを弾くこととあまりに違って、それからもうめんどくさくなってシンセサイザーとは金輪際お別れだと思った。

それから十年弱たって音楽で仕事をするようになったころ、あるミュージカルでキーボードを弾くことが突然代役(たしか初日の三日前だった(爆))として廻ってきて、シンセサイザーとの再会、しかし、デジタル・シンセサイザーとの初遭遇がYAMAHAのDXだった。

しかも作曲は当時ソ連のショスタコーヴィッチの次の世代の代表者であるロディオン・シチェドリンの作品だったからこれも異例中の異例だしそれから今年の頭にやった仕事(写真)には奇縁の連鎖があるのだ。

だって、シチェドリンはばりばりのクラシックの作曲家であり、彼はそういう楽器を使って作曲するのは初めてだったことに立ち会えた幸運。

そして今世紀に入って2002年、バレエで有名になった彼の編曲を元に構成された、ビゼーのカルメンを原作とする「ザ・カーマン」という「男版カルメン」のバレエを鬼才マシューボーンが日本公演したとき、それにもキーボードで関わった。

そのマシューボーンの別の作品(白鳥の湖)で世界的な名声を手中にしたダンサー、アダム・クーパーが日本で初演した「危険な関係」でキーボード(デジタルピアノ+サンプラー音源)を弾いている姿がこの写真である。

もちろん間には様々なキーボードで関わった仕事があるけど、この三つは自分のなかでは偶然でもあり幸運な連鎖と考えている。

白石准の仕事としては、基本は普通のピアノを演奏することであり、クラシック音楽なのだが、前述のミュージカルでキーボードで仕事をすることを覚えたわけで、チェレスタやオルガンに関する記事でも述べたようにこれらはやっぱり現場で否応なしに覚えないと仕事にならなかったという経験で自分の一つの演奏手段を増やしてきたことになる。

その後、他のミュージカルなどでもたくさんキーボードを弾いてきた(たぶんピアノでミュージカルに参加した回数より割合は多いのではないだろうか)。

その合間に、自分でもデジタル・シーケンサーという機械に80年代後半、子供のためのミュージカルを「仕込んだ」。今じゃ当たり前になったDTMを今のようなコンピュータなしにそのころからやっていたわけだ。

そしてそれを譜面にしたくなってMacintoshというコンピュータを90年代頭に買って譜面を書くのはいまじゃ手書きですることはほとんど無くなった。
(Mac.も譜面を書くソフトも今の値段の数倍以上だったよ(>_<))

そのうちキーボードの中の音色の編集(それをする専門の人のことをマニュピレーターと呼ぶ)もかなり自分でやれるように(やらざるを得ないことがほとんどだった)なったし、そのおかげで、クラシックの演奏家としては面白がられてあの、ローランドという電子楽器の会社のセミナーやシンポジウムの仕事を数多くさせてもらうことになった。

今じゃ、環境も変わり、前述のマニュピレーターの人も増えてきたので、ミュージカルで弾く際は、分業になってきて基本的には弾くだけで良くなったから楽になってきたけど、現場で色々修整するとき全くわからないのとそうでないのでは仕事の出来がかなり違ってくる。

二十世紀も後半に生まれたのだからテクノロジーの進化と共に生まれてきた楽器に、それに触れずとも生活できるなら(爆)それはそれで幸せなんだろうが、永遠のフリーター白石准としては、ニートにはなれないので、そのおかげでかなりご飯も食べられたし、それだからこそ、ピアノを弾いていただけでは出会えなかった人たちと相当な人数出会えて来たわけで、このカテゴリーの記事から忘れてはいけない白石准の別の顔である。

ピアノの代わりとしてだけデジタルピアノやその他の電子楽器を解釈する世界観ではネガティブなことにしか繋がらないと思う。

奇しくも明日はサントリーホールの小さい方で、プーランクのナゼルの夜会を独奏する。
もちろんピアノはスタインウェイのコンサート用のものだ。

同じ建物の大ホールでもピアノを弾いたことのある人は僕に限らず大勢いるだろうが、大ホールのステージでシンセも弾いた人はそんなにたくさんいないと思う。(爆)

それはこの前に投稿した記事に繋がるが、オーケストラの仕事をしているとそれまで弾いてきたピアノ以外にチェレスタを弾くこと覚えてきた。

チェレスタをオーケストラ以外の場面で出会って弾くようになったという人はほとんどいないでしょう。(爆)

しかしそれ以外にもバロックの通奏低音のパートとして、チェンバロを弾かされることもあるし、その楽器は最近では専門にやる人も増えているからそういう人たちからすると「何も知らないで仕事しやがって」ということになるんだろうけど、反面映画音楽のようなジャンルではキーボードも弾かなければいけないし、それだけでなく、現代音楽にはキーボードが元々指定してある事もある。

ポピュラー音楽だけではなく、そういうジャンルにもこの楽器はもう無くてはならないものになったのだ。

そしてオーケストラの仕事(ミュージカルのピットの中でも同様に)をしていると何でも状況によってそれを扱わなければいけないことになるものだ。。

もちろん楽器に関してはロックやなんかのジャンルのキーボーディストにはもっと詳しい人がたくさんいるけれども、クラシックのオーケストラ(ミュージカルも基本的にはクラシックのオーケストラという概念で書かれた音楽が多いわけで)の中で、アンサンブルをすること、細かい譜面や指揮を見て弾くことと電子楽器の扱いに詳しいこと、これらを両立する人はあまり多くないから、いわばこれは鍵盤奏者は多いけど、それぞれの専門のジャンルの「隙間産業」みたいなものでもあるね。

写真の時の「危険な関係」公演時も譜面は完全に古典的なクラシック音楽だった。

しかし、良くありがちな、オーケストラの人数を減らすために、弦楽器や管楽器の「代わり」をするのではなく、(ミュージカルはほとんどそういう経費節減の役割で生活の足しと考えれば我慢できるが、音楽的にはうんざりすることが少なくない)鍵盤楽器の音と、打楽器(がいなかった)の音と、なによりも嬉しかったのは、電子楽器でなければでない音(人間の声などを取り込んだサンプラーを含む)が中心だったので、やりがいがあった。

僕が幸せだったのは、最初の「仕事」もシチェドリンがDX7の中に標準で入っている音色を全部(爆)使い、当時は、FM音源の独特の音色だったが、シンセサイザーの音がそれそのものの個性をオーケストラの中で主張していたものを演奏できたことである。

別の記事にもつい最近書いたが、電子ピアノで弾かざるを得なかった本番で、耳の肥えたオーケストラの事務局の人に「電子ピアノで弾いている事を忘れていたのが不思議だった」と言われたのは、自分なりにもう二十年もそういう楽器にことあるごとに触れてきた成果がでてきたのかなと思う。

古いピアノに対する憧れとともに、「誰が弾いても同じ音がする」と思われているデジタル楽器でも弾き方によっては個性が出たり、それを扱うことが上手く行ってないと不自然に感じられることを忘れさせられたりするのかもしれないと、ここ毎日普通のピアノを弾いていてふと思い出したので久しぶりの投稿をしてみる気になった。(爆)

京都コンサートホールのオルガン

京都コンサートホールのオルガンオーケストラの仕事をしていると、「鍵盤を弾きうる」というだけで、時に自分の専門外の楽器(ジャンルも)をいきなり「無免許(爆)」で弾くことを余儀なくされるときがある。

まあオルガン(エレクトーンを初めとする電子オルガンではない)については、ちょっと習ったことがあるけど、だからといって、僕はピアノ弾きなのであって、オルガンも仕事で弾けますと言える代物ではないけど、こういった「行きがかり上、絶体絶命」みたいなころは「仕事」の現場ではありうるものだ。

断ればいいのに断らない俺もどうかとは思う。(爆)

専門に勉強したひとだって、このホールの素晴らしい楽器をさわったことがないだけでなく、オーケストラの中で弾いたことのない人だってたくさんいるはずだから運が良いと思うべきだろう。。

この演奏会はほとんどの曲でピアノとチェレスタを弾いていたが、最後の曲の最後にオルガンの咆吼があって、弾かされた時のものだ。

弾くところは少しだったし、足もなんとかできるくらいゆっくりだったし、ストップの選択については、会館のオルガンの担当の方にやってもらったので事なきを得た。

でもさすがに「プログラムのほとんど最後の曲の、一番盛り上がるところで大音響でオーケストラを飲み込まんばかりに響き渡ると、いう美味しい役どころ」で自分じゃはらはらして弾き終わって、「その他大勢」のひとりとして、振り返ったらそばのお客さんがみんなこっちを向いて拍手をしているから実に照れくさかった。

でも、どんな専門家だって「人生最初の日」というはあるにせよ、自分は専門のオルガニストとは明らかに違うわけで、「今日初めてオルガンを仕事で弾いたんです」とは言えないよね。(爆)

でもとっても気持ちは良かったです。

2005/4/29 京都コンサートホール 南安雄《懐かしの映画音楽》京都市交響楽団


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おしらせ

白石准画像

★10月に幕を開けるミュージカル,シカゴの公演に向けて今月から稽古ピアノでカンパニーに参加します。そのまま全公演にもピアノで出ます。10月から赤坂で行われる東京公演のあと、11月に数日大阪公演がありますが、その後、青山劇場にまた戻ってくることになったようです。

故に、11月中旬までは通常の演奏活動はすべて休止です。

僕の作曲した曲です

iTunes Storeで配信されている僕の作曲した作品です。
両方とも宮沢賢治の童話を元に「語りと音楽」による編成で作曲されています。
“どんぐりと山猫”については、ここ
“セロ弾きのゴーシュ”についてはここ
に補足説明があります。
これらの作品の生演奏のオファーも随時ここで受け付けています。

二つの作品のうち、“セロ弾きのゴーシュ”はこの真下の欄にあるようにCDとしてもリリースしました。

山猫合奏団CD

iTunes Storeで配信もされていましたが、このたびCDにもなった僕の作品を紹介します。 これはアマゾンへのリンクではありますが、懇切丁寧な紹介ページのある本読む人のパラダイス、快読ショップyomuparaでも購入できます。

iTunes Storeで配信されているものと違うのは、ボーナストラックが着いていることと何よりも出演者たちによる往復書簡形式のユニークなリーフレットの存在です。


その他に演奏したCDは 記事のなかにあります。

プロフィール

白石准

  • Author:白石准
  • このWeblogは、神奈川県最北部に棲み、東京を中心に活動している野良猫ピアノ弾きで作曲もするじゅに〜にょ,あるいはベロカミンスキーこと白石准のWebsiteのメインページです。

    主に自作品を演奏する山猫合奏団を主宰しています。

    他にWeblogは猫専用があります。
    演奏会のスケジュールはこのカテゴリーにあります。

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