モダンタイムス@ライブシネマby京都市交響楽団 - 2007.05.30 Wed,23:21

6/3に京都会館で行われる「ライブシネマ」(たぶんこのリンクは期間限定です)という、チャップリンの映画を彼の書いた音楽をオーケストラで生演奏するというものである。
かつて、東京で新日本フィルハーモニーもやったのだけど、企画としての意欲はこの催しを先駆的に始めただけあって、すごい意気込みです。
「街の灯」も僕は東京で弾いたけど、ゴングの音とかピストルの音とかサイレントかホイッスルのような、効果音はフィルムのなかにある音を活かして、音楽の部分だけを演奏していたけど、京都市交響楽団を指揮する齊藤一郎氏(この企画はこのオーケストラでは彼がすべて監修している)はすべての音をオーケストラにさせるので、打楽器奏者たちは大変である。
だから、ほとんどの奏者たちはすべてピットにいるけど入りきらない打楽器が舞台上手の花道に、そして舞台下手にピアノとチェレスタとおもちゃのピアノ(自分の所有物)、そして効果音専門の打楽器セクションが配置されている。

プレトークをやったおりに、僕が半分ジョークでこれを会場に持ち込み、「犬の生活」のなかにでてくるラグタイムをチェレスタと一緒に弾いて、齊藤氏がおもしろがって、モダンタイムスのある場面で使うよう要求したのです。
ピアノとチェレスタを乗り換えるのもかなりスリリングだけど、このトイピアノを弾く時は、チェレスタと同時に弾くので、両手を開ききって、しかも左手がメロディ、右手がそれよりも低い音域で伴奏型のフレーズを弾くから手がおかしくなりそうだ(爆)
こいつより上手に弾けないかもしれない。
しかもこの作品はご存知のように非常に「悪魔的な機械の動き」があるので、とにかくめちゃくちゃテンポの速いところが多くてスリル満点だ。
しかも面白いことに、小節数は、通常曲がかわればリセットしてまた「第一小節」から始まるのに、最初から最後まで、通し番号がうってあるので、最後は「3700小節」を少し超えたところで終わる(爆)
いままで、リハーサル中四桁の小節数を指揮者が指示するというのは経験がないような気がするなあ。

今現在チャップリンの11の作品の譜面が再構成されているということですが、自分自身も四つ目の作品になります。
どうせなら、全部網羅したい。
齋藤氏のリハーサルでは、毎回演奏者全員で映画を鑑賞してから本番に臨むらしい。
新日本フィルハーモニーでやった時はそういう配慮がなかったから、自分が弾いているところがどういう場面なのかわからないで弾いていたことが多かったので、明日のリハーサルはまず午前中に鑑賞してから午後にまた音を出すらしいので、譜面を再び見る時に違って見えることでしょう。
その方が弾いている時に観たくなってしまう誘惑に勝てるしね(爆)
でもこんな角度じゃ観たくてもまともに見えない。
ただでさえ、指揮者がとても遠くて、しかも暗い。
この前まで弾いていたジキル&ハイドでは、目の前に指揮者がいたことを考えるとこんどは一番遠いところで弾くので、離れている楽器との時差が今日もあったので本番までには慣れないといけない。
蛇足だけど、チャップリンの作品の中には制作当時、演奏されていた音楽は「既成の曲」の寄せ集めだったものもあり、公開されてから20年後に新たに作曲されたものとかもあるらしい。
ということは日本の活動写真館、つまり、僕にはとても縁のある“セロ弾きのゴーシュ”の登場人物たちは、常に同じ曲を違う映画でも使い回していたこともあるわけだ。
逃走場面ではオッフェンバックの「天国と地獄」とかね、。
だから、映画館によっては同じ映画なのに違う音楽で上映されていたということもあり得る訳で、どこでも観ても映画は舞台劇とは違って同じ、というわけではなかったらしい。
それが無声映画の魅力でもあったのだろう。
活動弁士はたぶん日本だけの風習でこれも義太夫やそれに連なる日本の芸能の遺伝子の末に存在した(今もいらっしゃるから、現在進行形ではある)独自のものなのだ。
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Toy PianoでConcertoを弾きにテレビに出た - 2006.03.01 Wed,08:35

プロデューサーから電話で誘われたとき、「どこが隠し芸なんだ」と抗議したけど、この日の収録のネタが少なかったらしいので、強引に引っ張り出されました(爆)。
当時は僕がたびたび出演させてもらった、司会が黛敏郎さんの頃のシリーズではなく、その後のもので、司会は武田鉄矢さんだった頃です。
このトイピアノは友人から借りたものなんだけど、珍しくグランドピアノ型ではなく、縦型、いわゆるアップライト型で、しかも鍵盤上の蓋がついているものでした。
その蓋が問題で、チャイコフスキーの冒頭の雄大な和音を弾くたびに振動で手の上に落ちてくるので、その度に蓋を元に戻すアクションが共演者や客席の笑いを誘ってました。
そういえば、どうせなら恰好までふざけようと、モーツァルトみたいな鬘を借りて、燕尾服で金色の大きな座布団に座って弾いた記憶があります。
自分の持ち物にもアメリカで買った縦型のものがあるのですが、それには蓋がついてないし、音域があまりに少なくこのネタには無理だったので借りました。
ということはそこそこ音域があったのです。
この縦型の玩具ピアノはオーケストラをバックに実に音も良く鳴ってくれました。
この写真は収録後、渋谷公会堂の楽屋で東京交響楽団のメンバーとふざけているときのものだけど、周りの人たちはみんなこれを欲しがったものです。
この時を遡ること10年くらい前に、この持ち主(ソプラノ歌手だった)とフルート奏者でコンサートをやったとき、なんかバロックより前の、実にシンプルな曲を演奏するときこのピアノで伴奏したときがありました。(爆)
もちろんジョークではあったけど、なんとも言えない可愛い雰囲気があって、評判は良かったです。
この楽器は国産のおもちゃだったけど、すごく良くできているなと感心しました。
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