Erard(エラール)Piano1927年製 モデル260フルコンサートグランド - 2006.01.23 Mon,19:32

この大きさの楽器(コンサート用の大きさがある)としては、鳴らす部屋が小さかったので、マキシマムのポテンシャルについては出し切れなかったとは思うのですが、とてもレスポンスの良いタッチに調整してもらっていたので、タッチに関しては軽快な曲を選んで弾いてみたけどとても弾きやすかったです。
コンサートの模様については演奏会ブログの該当記事(この文字列をクリックすると飛びます)にあって、本来ならばこちらに書くべき内容もそっちに書いてあるし、ここに貼り付けていない写真もあるので、そちらの記事も参照してください。
自分としては、このような現存しないメーカーの名器を、試し弾きのみならず、小さなコンサートだったとはいえ、聴衆の前で演奏出来たことはなかなか出来る物じゃないし、誇りに思います。
自分の楽器を持ち歩けないピアノ弾きである以上、こういった良い楽器に偶然出会い弾くという楽しみをこれからももっと味わいたいと思います。
そして、ピアノは消耗品だという固定観念をもっている人々に、良い技術者の手にかかればある意味いつまでも使える、ということを知らしめたいし、また実感していきたいと思う。
こういう楽器でしか出ない音色の記憶を自分の体験としてもつことは、古楽器に出合うことと同様、この楽器が「現在進行形」で存在していたときに発想された音楽というか響きのテイストを理解するのに大変価値のある役割を果たすでありましょう。
こればかりはこの場に居なかった人に言葉で形容出来るのは、僕のレトリックでは大変難しいし、それは音楽家よりも詩人の仕事だと思うし、何度も書くが実際に触って覚えることはあちこちに渡世の旅をしないと出来ないわけです。
しかしながらこの極東の日本にも、おびただしい数の面白いピアノはあちこちにあるだろうし、その素性をそれぞれ調べたら、大変興味深い本が出来るのだろうと思います。
次回のこのカテゴリーの記事は、同じ日に弾いた1924年製のベヒシュタインです。
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★2006/1/21白石准のピアノの部屋@京都森田ピアノ - 2006.01.22 Sun,22:51

自分の予想外に部屋をあふれそうにお客様がいらしてくださり感謝感激です。
すばらしい楽器を二つも(実はそれに加えてスタインウエイの縦型もちょっと弾いた)弾けて、通常ホールではできない体験で感じいりました。
調整していただいた森田ピアノのみなさんに感謝です。
エラールのピアノはプレイエルと並んでショパン時代からあるメーカーであるが、このピアノは前述の様に90鍵あって、現代の通常のピアノより二つほど低い鍵盤が存在します。

現存するメーカーとしてはウィーンのベーゼンドルファーは、もっと下のドまでオプションの鍵盤があるモデルがあるから、それ以外では初めてだったけど、プーランクだけでなく、ラヴェルにもこの音があるということはフランスのメーカーにはこういう音域の鍵盤があるものがいくつかあるあらしく、近代の作曲家の「日常」にはその時点で、「これからのピアノの音域というのはこれが標準になるものだ」という確信があったのでしょうね。
たしかにピアノが生まれて様々な改良が施されてきた中で、音域の拡大というのもあったわけで、90鍵を用意した当時のフランスのピアノメーカーはことごとくそれ以降消滅してきただけに、もっとそれらが強かったらスタインウェイもヤマハもカワイも通常は88鍵であるけど、90鍵のモデルを用意したかも知れません。
でも、この二つの鍵盤がなくてもほとんどの音楽は演奏出来るし、逆にこの時代のピアノのなかには自分の家のドイツ製の1920年代の縦型ピアノもそうなのですが、一番上の鍵盤が3つ少ないものがよく見受けられるわけです。
つまり85鍵だけど、よっぽど特殊な曲を演奏しない限りそれでもほとんど困ることはないけれど、こうやって「普通の楽器では弾けないけど、楽譜に本来書いてある音」をそのまま弾けるという喜びはやはり単純に嬉しい。
もちろん、音域が広いことが喜びの最優先時候ではないですよ(爆)
音色に関しての弾いて感じる喜びに関しては雑記帳ブログにも書いたけどこれほど饒舌な自分ではありますが、それを再現する言葉が見つかりません。
今回はモーツァルトのK330のソナタとプーランクの“ナゼルの夜会”をエラールで、そして後半、モンポウの前奏曲集をベヒシュタインで弾きました。

自分の家のピアノの部屋はとても狭いのでこういう楽器だととてもありがたいですね。
このベヒシュタインの譜面台はなんとなく京都の町並みにあうような気がします。(爆)
古い時代のピアノの譜面台は、エラールの写真をみても分かるとおりこのように隙間を多く取ったものが多いのです。
これはデザインを考えているとだけ思う人もいるかも知れませんが、譜面を置いて演奏するとその効果を実感します。
現代のほとんどのピアノは譜面台は隙間のない板であり、そうだと演奏者にはそれを建てたときそれを寝かせている状態ととても違う音色で聞こえてきます。
そういう意味だとこれはとても演奏者にとって譜面台による「障害物のじゃま」をなしに音を聞けるのでうれしいのです。

右の写真の一番右側はニューヨーク・スタインウェイの縦型ピアノ。
響板を客席に向けて聴くと縦型ピアノの本当の底力が分かります。
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