劇団民藝の「満天の桜」を観てきました - 2012.12.10 Mon,09:23


とても古いし、内装の様々なデコレーションが最近の劇場とは違います。
そして古いデパートの一つのフロアにある故、上まで吹き抜けてないしそれほどでかくないから、もちろん台詞は生声で十分にストレス無しに客席まで通じる。

次は天井です。
壁の装飾もそうだけど、何と凝った照明でしょう。

でも台詞だととても良く聴き取れます。
謎の装置が床のあちこちにありました。

題材も良かったし、脚本も良かったし演出も良かったと思います。
そして、何よりも、大ベテラン、奈良岡朋子さんの演技には息を飲みました。
自分の母親とほとんど同学年の昭和一桁前半のお生まれだそうですが、巨匠の域に達したその演技、最後の数分間で音楽で言えば、凄いクレッシェンドというか、ストリンジェンドというか、思わず涙させられましたが、その悲しい場面で、実に台詞は穏やかに明るく語られていたのです。
その夢想するような演技が客席を涙の嵐に連れて行った感じが素晴らしかった。
ストーリーも、政治に翻弄される女性を取り巻く人間模様で、お家の事情もあるのだが、親子なのに親子と呼べない江戸初期の徳川家に所縁のある、満天姫(まてひめと読むのですな。)の話なのだが、この実話に基づくストーリーについては全く知らなかったものですが、ちょっと色々読んでみたくなりました。
今回の僕が弾いた池辺さんの音楽は、効果音とか、心情とかを表す部分で使われているというより、始まりと最後、そして転換をしているときに演奏されることが中心でした。
でもクライマックスでは実に効果的な音楽になっていましたが、そこでは僕の弾いたチェンバロの音はしませんでした。
自分が弾いた事はすっかりわすれて観劇しました。
久しぶりの新劇だったので、これほど音楽が無い舞台も良いなと思いました。
金、土と、ショスタコーヴィチの管弦楽の音の渦に包まれて気持ちよかっただけに、今日のギャップは良かった。
Musicalもショウとして面白いけど、やっぱり普通のお芝居には他の物に変えられない面白さがある。
そして、今日は終演後、脚本を書いたの畑澤聖悟さんと、 演出の丹野郁弓さんのトークショウがあって、色々面白い話が聞けました。
畑澤聖悟さんは青森在住の中学校の美術の先生でもあり、役者さんでもあり(すっごく声の良い体の大きい方でした。)、劇団も主催されて、同時に高校の演劇部の顧問で精力的にあちこちで公演され、脚本家でもあってラジオドラマなどの作品も多い、実にマルチな方でした。
マルチな方のお話は本当に面白い。全然別々の事をやっているようで、その中には一貫したつながりを感じていらっしゃる。
僕は、「○○一筋」で、凄く高みにいらっしゃる方も十分尊敬しますが、自分の好奇心も多岐にわたっているので(爆)、こういう人の言葉にはとても魅力を感じます。
質疑応答では僕も質問しました(爆)
内容はお歯黒の事でした。
今日は既婚女性のメイクでは「お歯黒」とか「眉を剃る」ということをちゃんと忠実にやっていたのですが、考えてみたら、江戸時代は結婚した女性はお歯黒だったはずだけど、テレビなどでは気味悪いという印象を持たれるのが嫌なのか、ほとんどお歯黒の登場人物を見かけないですよね。
不思議だな。
時代劇ですから、様々な時代考証と一般的な常識とのずれには苦労されているようで、それとは反対に、素人からすると、普通に見える事で、芝居の本質には関わらないこともあろうはずが、時代考証マニアからの突っ込みへのご苦労もあると聞きました。
眼に見えないところでの様々な苦労を知る事ができました。
ちょっと日本橋の三越でいつもとは違う気分になれた
ライオンちゃん、さようなら。
公演はまだ続いているので、どうぞ観劇にいらっしゃることをお奨めします。
時代劇ですが、人間関係やその他諸々、知らなくても台詞の中に説明されているからあまり日本史には詳しくない僕も、ストレスなく楽しめました。

三囲神社の記事に出したつもりで出さなかったみたいだけど、池袋の三越が無くなった後、この神社の境内の狛犬の後ろにこれと同じ、池袋に居たライオンちゃんが引っ越してきて鎮座していたのにびっくりだった。
じゃあ、新宿の三越のは何処に?、、、
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自称占い師の家族にマンションを占拠されてしまっている某芸能人の事と、安部公房の「友達」について - 2012.02.29 Wed,17:27

昼ぐらいに雪かきをしたのだが、家の前は午後になって気温が上がったのだろう、雪かきをしたときよりも普通の地面が見えている。
降っている時に書いた記事の写真にくらべて、何もしていない奥の駐車場の車の埋まり具合は酷いが、明日は暖かいというので、きっとあっという間に融けるだろう。
こんな天候の記事を書いても、twitterじゃあるまいし、このままじゃ残しておいてもしょうがない内容になるので、最近世間を騒がせている「某芸能人の、自称占い師の家族にマンションの部屋をほとんど乗っ取られている話」についてちょっと思い出した所があるので書いてみる。
「乗っ取られて」というところに興味があって、「家賃滞納」とか大家が有名芸能人ということにはほとんど興味がないし、そのタレントが正気を取り戻して復帰するか否かにも興味は無いのだが。
何に興味があるかというと、かつて学生時代、めっぽう好きだった安部公房という作家の作品を思い出したのだ。
多くの場合、彼の作品では、いわゆる普通の日常で生活している主人公が、常識とされている事が突然通用しなくなる不条理な世界を描いている。
大学時代、有名な劇団のものも鑑賞したし、もしかしたら、誰かと共有して客席に聴かせた僕の最初の作曲だったかもしれないが、彼の戯曲「友達」というのをやったことがある。
(戯曲にはその家族が歌うテーマソングの譜面は添付されていたのだが、演出の先生が別のをということで僕に書かせたのだ。
Originalの劇中歌は、Jazzっぽいノリノリの曲ではあったが、僕は凄く性格的に優しく仲の良いコーラス好きの家族の愛唱歌みたいな四部合唱で書いた。)
内容は、ある男の所に突然見知らぬ家族がやって来て、隣人愛を理由に居座ってしまい、そのうち彼は殺されるのだ。
(もうちょっと詳しいあらすじは別のBlogにありましたのでご参照ください。)
安部公房の設定した状況は、ちょっと考えればありえそうだけど、やっぱり架空の事で、実際には起きないものだと思っていたが、この事件を知り、結末うんぬんではなく、状況的に実に「友達」に似てるなと思った、というか、あれが現実に起こりうるんだなと思った。
もちろん、状況は多くの点で違っているだろうが、もうその某芸能人の心はその家族(最初は占い師一人だと思ったら、今は家族もいるって聴いてびっくり)に牛耳られて、まともな社会生活ができなくなっている点。
「友達」の主人公の様に助けを求めている(でも誰も助け(られ)ないのだが)訳でもないところが、決定的に違うが、起きている状況がi筋書き通りなのが怖い。
カルトの宗教も怖いのだけど、これは、彼女だけをターゲットにしていて、彼女のプライヴァシーを全部支配しているので、近々予想される強制退去の実行日にもなにかすんなり行く様にも思えないな。
こんな事書いて、落ちが無い事に気づいたので、記事を終わる。
今夜は、思い込みと何が違うかと言われると、なかなか難しいのだが、常人にはありえない揺るぎない強い意志を持って眼の前の試合に臨んでいる男女のSoccer日本代表を応援する事にしよう。
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火の鳥乱舞@劇団あとむ,“気の良いイワンと不思議な子馬” - 2011.06.02 Thu,00:49
照明の当たりを調整している間、途中に出てくる「火の鳥」が出現する場面の確認をしているとき、遅いシャッターで写真を撮っていましたら、retouchをしてないのですが、凄く妙な写真が撮れました。



ハンナのかばん@劇団コーロ:2009年東京公演、生演奏特別ヴァージョン(再再再再再投稿) - 2009.07.20 Mon,11:35

おかげさまで、三回の公演とも予想を超える人数で客席が埋まったようです。
ありがとうございました。
写真は千秋楽終演後、バックステージツアー(この状態はバックではないが)が始まった頃の情景だけど、この位置で弾きました。
ヴァイオリニストの西田氏はちょうどこの裏のステージとピアノの間くらいで弾いていました。
芝居に音楽をつけるという意外と簡単そうに見えるかもしれないけど、実はいろいろタイミングやアジャストに関してはたいそう難儀なジョブにもかかわらず、スケジュールの関係で、音楽班としては、リハーサルは前日の一日だけという綱渡りではありましたが、なんとか芝居を壊すことなくお役に立てたかなという充実感で終わりました。
劇中で二度ピアノと一緒に歌が流れる場面があるのですが、そのうちの一度は歌っている人が舞台上に見えません。
ご覧になった方の中に、ピアノに合わせて舞台袖で歌っていると思われていたので、ここであえて大人げなく(爆)告知しますが、あれは、あらかじめ録音された歌に僕が生演奏でつけて弾いていたのです。
ゆえに、前奏を弾き出した時はメトロノームを見て居るわけでもないので果たして歌が加わった瞬間テンポが合うかどうか、全くのギャンブルだったのですが三回ともまあまあちゃんと合っていたように思いますがいかがだったでしょうか。
打ち上げは初日の土曜日の夜公演の後、吉祥寺の実にディープな「ハーモニカ横丁」の中の美舟というお店でやりました。
千秋楽も飲み会があったようですが、僕は地域のお祭りの警備で二時間従事しなければいけなかったので、参加しませんでした。
この生演奏公演が実現するためには、かなり紆余曲折があったようです。
作曲家の上田亨さんの情熱が後劇団員の方たちを納得させるために二年かかったようです。
僕が普段音楽の生演奏が当たり前のMusicalの世界で芝居に関わることが多いことに比べ、それ以外の音楽が「付帯的」に存在するお芝居の場合、予算を割いてまで生演奏でやることに意義を感じない場合が多いようです。
でも、きっと劇団の人も、この作品を観た人も今回上田さんの書いたすてきな音楽を生で演奏したことの意義を感じてくださったであろうと信じています。
劇団コーロは大阪の劇団です。良い思い出を大阪に持って帰ってもらえたら幸いです。
僕が作曲した“ジョディと子鹿のフラッグと”も、実際にむすび座と生演奏の公演をしたときの役者のテンションは録音された音楽でやっているときと完全に違ったし。芝居(あるいはダンス)と音楽の関係って本当はもっと密なものだと思うのです。
決して聴衆を軽んじるつもりもないけど、やっぱり客席にアピールすることが第一義にあるのではなく、新鮮な風を共演者たちに吹かせてそれによって共演者たちがなにかしらのインスパイアを感じているなと実感する喜びというのは、それが全体としてそれを受け取る聴衆にも化学反応を起こすような気がします。
この喜びは今やっているミュージカルの仕事でも同様だし、僕が20年以上続けていて、7/28日にまた再び訪れるアマチュアの子供たち(大人も居るけど)との共演もその根っこは同じなのです。
音楽をするというのは、相手が音楽家との共演であれ役者やダンサーであれ、それがあるから面白いのであって、こういう面白さに気づかないとするならばもったいないなとはいつも思うのです。
明日はまた渋谷で上演されているSunday in the Park with Georgeに復帰します。
いきなり昼夜二回公演か、、、。orz
でも確かに寝不足だけど、明日のためにリフレッシュする必要があると思って、最初は早く寝ようと思ったけど、昼間に摂ったカフェインが効いてしまい眠れないので、映画のDVDを借りて来て夜遅く見て気分がスッキリした。
題名わすれたけど、戦争映画を撮るのに予算が無くなって、役者はだまされて本当の戦争をしているところに放り込まれるというやつ。たしか「史上最低の作戦」とか書いてあったかな。
内容はおちゃらけているように見えて、Sunday in the Park with GeorgeやCandideと同じように、「自分とはいったいなんなんだ」という問いがテーマのものなのです。
しかしもう二時を遙かにまわってしまったのでいい加減に寝ることにする。
故に、金曜から日曜までSunday in the Park with Georgeの公演は代役の方が弾いていました.
高校時代吉祥寺のそばに通学して以来、もし宝くじが当たったら絶対に日本で一番住みたい場所である、吉祥寺で久しぶりにいろんなものを食って飲んだ三日間でした。
この土地はやっぱり他の場所とは僕にとっては次元の違う愛着があります。
高校卒業時に、生まれて初めてリサイタルをしたのも武蔵野公会堂だし、初めて酒を飲んだのも、ジャズ・クラブのサムタイムだし、初めて牛丼を食ったのもこの土地だったからね。
再投稿の祭には、このストーリーの原作の本を追記に紹介しましたが、僕も当日劇場のロビーで売っていたので買ってみました。
お芝居のこととはちょっと離れるけど、この中に登場する「ふみこさん」がハンナのかばんを通じてハンナについて集めた情報というのは並大抵の労力ではなかったことに感銘しました。
7/18(土)の14時,19時と7/19の14時に東京の吉祥寺にある前進座劇場(こんなところで弾くのは生まれて初めてですし、訪れたのも高校時代、安寿と厨子王のお芝居をここで観て以来だ)で、ホロコーストを題材にした「ハンナのかばん」に生演奏で参加します。
演奏者は二名、ヴァイオリンが、昨年の秋に上演したミュージカル、シカゴで知り合った西田史郎さん、ピアノは僕です。
この音楽については、二年前に記事にしてありますが、ついに生演奏が実現したことになります。
この夏(2009年)の公演でハンナのかばんを生演奏で上演するのは東京公演のみです。
公式サイトの情報を参照してください。
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ハンナのかばん - 2007.10.01 Mon,23:47

録音といっても今現在自分の書いているものではなく、上田亨さんという作曲家のものだった。
新鮮だったのが、通常よく使うスタジオではなく、渋谷に新しくオープンしたミディアルタという会社のスタジオに初めて行った。
新しいというだけではなく、最新のセキュリティーシステムが全館に渡って施されており、エレベーターでおのおのの階に入るにはその階専用のIDカードがないと入れなかった。
つまりトイレに行くにもカードがないとオートロックで閉め出されてしまうということだ。
写真は6階にあるスタジオ。
なんと調整室はこのフロアではなく、4階にある。

すぐ近所がNHKの建物があるところだ。
そしてこの部屋自体にかなり残響があって、ヘッドフォンを通さなくても十分気持ちよく弾ける。
ピアノはたしかYAMAHAのS6だったかな。
なかなか良かった。
今回の編成はピアノとヴァイオリンだけという珍しいものだった。
でも音符は編成が小さいだけに(爆)、なかなかこの手の仕事(詳しくない方に説明すると、こういう録音は当日スタジオに行って初めて譜面を渡されて一回リハーサルをしたらすぐに録音が開始されるから極度に複雑な譜面ではないことが多い)からすると、音符の数が結構多かった。
だから、一枚目の写真でわかるとおり一応ヴァイオリンとピアノの間に「しきり」があるのだ。

三枚目の写真(おのおの突っつけばでかくなる)にあるとおり、他のフロアにある調整室の様子がなんとプロジェクタで壁に照射されているのには一同びっくり。
作曲家を含めみんな携帯で写真を撮りまくっていたし(爆)
そうなんです、まだオープンして間もないらしく、録音としては二度目の使用だったらしいです。
内容は「ハンナのかばん」というアウシュビッツに関係したストーリーのお芝居だそうです。
演じるのは大阪の劇団で、「劇団コーロ」と言うそうです。
もうこの記事が投稿されたときは初演は終わっているけれどもまた再演の機会があって、予算的に少し余裕があるときは生演奏でもやりたいと言われ、それはまた楽しそうだなと思いました。
そうなんですよ。
こういう仕事ってだいたい録音に参加するけど、その「結果」ってほとんど観たことがない(爆)からたまには観てみたいとも思います。